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リフォームUK(Reform UK)の主要人物:概要と現状(2025年6月現在)

「Reform UK(リフォームUK)」は、2018年にナイジェル・ファラージ氏らによって設立されたイギリスの新しい政党です。元々は「ブレグジット党(Brexit Party)」として、英国の欧州連合(EU)からの離脱(いわゆるブレグジット)を推進するために結成されました。2019年の欧州議会選挙では第1党となるなど急成長を見せました。1 英国のEU離脱が完了した後、2021年に党名を「Reform UK」へと変更し、国内の政策全般へと焦点を移しています。2

この党は、大衆の意見や感情に訴えかける右派の政治勢力(右派ポピュリズム)と位置づけられています。3 主な政策として、移民の制限、大規模な減税、そして環境保護を重視する「グリーン政策」への反対などを掲げ、「英国に常識を取り戻す」と訴えています。4 2024年には、党の設立者の一人であるナイジェル・ファラージ氏が党首に復帰しました。その直後の総選挙では、全体の投票数の約14%を獲得し、英国議会の庶民院(下院)で5議席を得るという成果を上げました。これは、Reform UKが伝統的な二大政党である保守党と労働党に次ぐ、第3の勢力となったことを示しています。さらに、2025年春の地方選挙でも地方議会の議席を大幅に増やし、複数の地域で行政を担うなど、イギリスの二大政党制に変化をもたらす存在として台頭しています。

この記事では、Reform UKの現在の幹部や国会議員、地方政治で活躍する人物、過去に関わった人々、そして他の政党や著名人との関係性について、2024年から2025年の動向を中心にご紹介します。また、党全体の影響力や内部の仕組み、政策路線の変化についても触れ、世論やメディアの評価を交えながら分析していきます。

現職党幹部のプロフィールと動向(2025年6月現在)

ナイジェル・ファラージ (党首)

氏名・役職: ナイジェル・ファラージ (Nigel Farage) – Reform UK党首、庶民院議員 (クラクトン選出) 5, 6

経歴・背景:
ファラージ氏は、英国政治においてブレグジット推進の中心人物として知られています。元々は1970年代末に保守党に入党しましたが、1992年のマーストリヒト条約(EUの設立を定めた条約)批准に反発し離党しました。その後、1999年から欧州議会議員を務め、EUに懐疑的な立場や反EU運動の象徴的な存在となりました。2006年からはUK独立党(UKIP)の党首として「イギリスのEU離脱」を掲げて支持を広げ、2016年の国民投票でEU離脱が実現する上で大きな影響を与えました。1

EU離脱後、UKIPを離れたファラージ氏は2018年にブレグジット党の結成に参加。2019年の欧州議会選挙ではブレグジット党を率いて勝利しました。ブレグジット党は2020年のEU離脱完了後、「Reform UK」へと改組されました。1 一時は党首を退いていましたが、2024年6月に党首に復帰しました。1 これは、当時党の勢いが伸び悩んでいたため、党の「顔」であるファラージ氏が再登板することで求心力を高める狙いがあったと見られています。

主要政策・政治的立場:
ファラージ氏は一貫して、EUに対して国家主権の回復を求める強硬なユーロ懐疑主義を掲げています。移民の抑制や規制緩和を主張する右派ポピュリストです。Reform UK党首としても、「年間の移民数を実質ゼロに近づける(ネット移民ゼロ)」、「小型ボートで英仏海峡を渡る不法移民を阻止する(いわゆる『Stop the Boats政策』)」、欧州人権条約(ECHR)からの脱退、公的機関の支出削減と大規模減税などを公約に掲げました。1, 10 また、治安対策として警察官の増員や新たな刑務所の建設も訴えています。10 環境政策については、温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「ネットゼロ」目標に反対し、現在の気候変動対策は英国産業に過度な負担を強いていると批判しています。4こうした政策スタンスから、メディアは同氏の政党を「急進的右派」や「極右ポピュリスト」と評しています。11

2024年~2025年の主な活動や発言:
ファラージ氏は2024年7月の総選挙で、8回目の挑戦にして初めて下院議員の議席を獲得しました。12 (エセックス州クラクトン選挙区にて、保守党の現職議員を破り当選)。同選挙ではReform UK全体で14.3%の得票率を得て5議席を獲得し、ファラージ氏は「これは保守党崩壊の始まりだ」と勝利宣言しました。13, 14 その後も勢いは続き、2025年5月の地方選挙では、労働党の強固な地盤であった北西部レンコーン&ヘルスビー選挙区の補欠選挙で党の候補者を僅差で当選させました。15 これに対し、「保守党はもはや終わりだ」「労働党の地盤でも我々が真の野党になりつつある」と強調しました。16, 17

一方で、その言動は物議を醸すこともあります。2024年の選挙戦では「ウクライナ戦争は西側がプーチン大統領を挑発した面がある」と発言し、英国内で批判を浴びました。18 また、過去にはEU離脱投票時に移民排斥的と取れるポスターを掲げ、人種差別だと非難された経緯もあります。19 アメリカのトランプ前大統領とは親しい関係にあり、互いに選挙応援などで協力してきました。20 近年は、トランプ氏の政策のうち英国世論で不人気なものからは距離を置く発言も見られます。21 2025年2月には、同氏の党が世論調査で全国首位(支持率25%)に立ったとの報道があり、「イギリス国民は『改革』を望んでいる」とSNSで喜びを表しました。22, 23

世論・メディア・専門家による評価:
ファラージ氏は支持者から「既存政治を打破する庶民の代弁者」として熱狂的に支持される一方、批判者からは「移民やEUを問題のスケープゴート(身代わり)にする危険なポピュリスト」と見なされています。イギリスの雑誌ニュー・ステーツマンは2023年に彼を「英国右派で最も影響力のある人物」と評しました。逆に、ガーディアン紙などはReform UKの背後に富裕層の献金者やアメリカの右派との繋がりがあると指摘しています。24, 25 政治学者のティム・ベール氏は「ファラージ氏は20年以上自身の運動を率いて成功を収めてきたが、次の段階として党が彼個人を超えて成長できるかが問われる」と分析しています。26, 27

リチャード・タイス (副党首)

氏名・役職: リチャード・タイス (Richard Tice) – Reform UK副党首、庶民院議員 (ボストン&スケグネス選出) 2930。元党首 (2021年~2024年)、元党主席 (Chairman)。

経歴・背景:
タイス氏は著名な実業家で、英国の不動産開発会社の経営者を務めた経歴を持ちます。31 2010年代にはEU離脱派のシンクタンク(政策研究機関)「Leave Means Leave」の創設に関わり、EU離脱キャンペーンを資金面や組織面で支えました。32 2019年にナイジェル・ファラージ氏と共にブレグジット党を立ち上げ、党主席として運営を取り仕切りました。自身も2019年の欧州議会議員選挙に出馬し当選、英国がEUを離脱するまで欧州議会議員を務めました。33 同年末の総選挙では英下院ハートリプール選挙区から立候補しましたが、3位で落選しています。34

2021年3月、Reform UKへの改称後にファラージ氏の後任として党首に就任しました。35 党首在任中は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下でのロックダウン(都市封鎖)反対運動や、移民問題、増税反対など、幅広い政策に党の重点を移しました。しかし、支持率が伸び悩んだこともあり、2024年6月にファラージ氏が復帰する形で党首を退任しました。以降は副党首としてファラージ氏を支えつつ、自身は2024年の総選挙でイングランド東部のボストン&スケグネス選挙区から出馬し当選、初めて国会議員となりました。現在は下院議員・副党首として党の政策発信を担っています。

主要政策・政治的立場:
タイス氏も熱心なEU懐疑派であり、2016年の国民投票では「合意なき離脱(No-deal Brexit)」も辞さない強硬な離脱支持を唱えました。36 政治的立ち位置はファラージ氏と同様に右派ポピュリズムであり、増大する移民の抑制や大規模な減税を訴えています。37 近年では「英国版大減税(Great British Tax Cut)」を掲げ、法人税や所得税の大幅な減税による経済活性化を公約しました。また、外国人労働者を雇う企業に追加で課税する「移民雇用税」という独自の提案も打ち出し、国内人材の雇用を促すと主張しています。移民政策では「移民の流入を凍結し、不法移民の強制送還を強行する」と公言し、いわゆる「ボートで渡る難民を止める」方針を明確にしています。38 さらに、気候変動問題についても懐疑的で、人間の活動が主な原因であるという通説に異論を唱えています(2024年2月のSky Newsインタビューで「気候は常に変動しており、人類の寄与度には議論の余地がある」と述べました)。39

2024年~2025年の主な活動や発言:
タイス氏は2024年の総選挙で庶民院議員に初当選して以降、党の国会内でのスポークスマン的な役割を果たしています。2025年には党副党首としてテレビ番組に出演し、Reform UKが実権を握った地方自治体では「難民申請者向けの滞在ホテルにあらゆる手段で対抗する」と宣言し注目を集めました。40 また、選挙当確の際のスピーチでは「これは始まりに過ぎない。我々はまだエンジンを暖めている段階だ」と述べ、今後のさらなる勢力拡大に意欲を示しました。41 副党首就任後は、党首ファラージ氏を補佐し、エネルギー政策責任者や外交スポークスマンなども兼任し、政府のエネルギー価格高騰への対応不足やEU離脱後の外交戦略の欠如を追及しています。42

世論・メディア・専門家による評価:
タイス氏は党内の実務家という印象があり、ビジネス界出身の論客としてテレビ討論などでも穏やかな語り口で財政政策の必要性を説く場面が目立ちます。そのため支持者からは「経済に明るい改革派」と評価されていますが、批判的なメディアからは「富裕層寄りの減税論者」と見られることもあります。移民や文化問題に関してはかなり強硬な姿勢を見せており、発言が物議を醸すこともしばしばです。2024年にファラージ氏が党首に復帰した際、タイス氏が一時的に表舞台から退いたため「両者の関係悪化か」との憶測も呼びましたが、現在は副党首として協調関係を保っているとされています。43

その他の主要幹部

  • ジア・ユースフ (党主席): 2024年に党主席 (Chairman) に就任し、党の日々の運営を取り仕切っています。24 元コンシェルジュ企業の起業家という異色の経歴を持ち、党組織の専門化を推進しています。44, 45
  • ニック・キャンディ (党財務担当/資金調達責任者): 英国有数の富豪で、高級不動産開発業で財を成しました。党の筆頭財務担当 (Treasurer) として巨額の寄付を約束し、他の富裕層からの資金集めを牽引しています。25
  • ハワード・コックス (元ロンドン市長選候補): 燃料税引き下げ運動「フェア・フューエルUK」の創設者です。2024年のロンドン市長選挙でReform UK公認候補となりましたが、当選は逃しました。48 2025年までに党を離れています。

これらの幹部に加え、元UKIPのスポンサーだった実業家アロン・バンクス氏や、ファラージ氏の私設秘書的存在のジョージ・コットレル氏などが周辺を固めていると報じられています。49 広報チームにはGBニュース(保守系ニュース局)出身者やYouTuber出身のデジタル戦略家も加わり、SNSを駆使したキャンペーンを展開しています。50, 51

国会議員(庶民院) と国政での存在感

2024年7月の総選挙および2025年5月の補欠選挙の結果、Reform UKは庶民院で5名の議席を占めています。3 これは全650議席中では少数ですが、英国の小選挙区制(1つの選挙区から1人のみが当選する制度)の下で新興政党が複数議席を獲得したことは注目すべき出来事です。

  • リー・アンダーソン: アッシュフィールド選出。元保守党議員で、Reform UKでは国会議員団の筆頭格です。54 2024年初頭に保守党から停職処分を受け、その後Reform UKへ合流しました。56 反移民・反エリート色が強く、庶民の怒りを代弁する発言で知られます。59
  • ジェームズ・マクマードック: サウス・バージルドン&イーストサロック選出。38歳で2024年総選挙に当選した元金融マンです。63, 64 保守党の牙城だった選挙区で大接戦の末に勝利しました。65
  • サラ・ポーチン: レンコーン&ヘルスビー選出。2025年5月の補欠選挙で当選し、Reform UK初の女性下院議員となりました。69 元保守党の地方議員で、労働党の「鉄板」と言われた地域での勝利は大きな注目を集めました。15, 72
  • ルパート・ロー: グレート・ヤーマス選出。元サッカークラブ会長で、2019年にはブレグジット党の欧州議会議員も経験しています。73 しかし2025年に入り、党首ファラージ氏との対立が表面化し、党から一時「停職」処分を受け、その後離党を表明しています。76, 77

これら議員はいずれも2024年以降に当選した比較的新しい顔ぶれですが、保守党からの移籍組や元欧州議会議員も含まれ、政治経験は多様です。Reform UKは下院での議席数は少ないものの、2024年総選挙での全国得票率では第3党となったため、その存在感は数字以上に大きく感じられています。

地方政治における主要人物と影響力

Reform UKは国政だけでなく、地方政治でも近年目覚ましい進出を遂げています。特に2025年5月の統一地方選挙では、同党が地方議会議員の数を飛躍的に増やし、いくつかの地域で議会の主導権を握りました。80

  • アンドレア・ジェンキンス: リンカーンシャー広域市長。元保守党の下院議員・閣外相です。2024年総選挙で議席を失った後Reform UKに転じ、2025年5月に新設の「グレーター・リンカーンシャー」初代市長選挙に当選しました。81 強硬なブレグジット支持者として知られ、過激な発言も注目されています。82
  • ルーク・キャンベル: ハル&イーストヨークシャー広域市長。オリンピック金メダリストの元プロボクサーで、地元ハル出身のスポーツヒーローです。政治経験はありませんでしたが、2025年5月に新設の広域行政区の市長選挙で当選しました。83
  • 地方議会のリーダー達: Reform UKは2025年の地方選挙で、ケント、ダービーシャー、ダラム、ノッティンガムシャーといった主要な州議会で過半数を制し、行政を担うことになりました。84 例えばケント州では、Reform UK主導で難民宿泊所の転用計画に反対する決議を採択しています。公式集計によれば、Reform UKは全英で677議席を獲得し、10の地方議会で単独過半数を得たと伝えられています。85

離党・除名された主な人物

Reform UK(旧ブレグジット党)の歴史はまだ浅いものの、その過程で党に参加後、現在は離党または除名されている主要人物もいます。

  • キャサリン・ブレイクロック: ブレグジット党の初代党首でしたが、過去のイスラム教徒に対する差別的なSNS投稿が発覚し、2019年3月に辞任しました。9091
  • ベン・ハビブ: 元共同副党首。ファラージ氏の党首復帰後、執行部から遠ざけられ、2024年末に離党しました。46 党運営を批判し、新党結成の可能性も示唆しています。78
  • デビッド・ブル: 医師・テレビ司会者で、元共同副党首。党内の路線変更などで意見が合わず、2022年頃に執行部を離脱しました。98
  • アン・ウィデコム: 元保守党の大物政治家。ブレグジット党から欧州議会選に出馬・当選しましたが、現在は党の正式な役職には就いていません。99
  • マーティン・ドーブニー: 元欧州議会議員・副幹事長。補欠選挙落選後、党路線をめぐり執行部と対立し離党。現在はリクレイム党に参加しています。

他党や著名人との関係

保守党との関係

Reform UKは伝統的に保守党を支持してきた右派層の票を集めており、保守党とは対立関係にあります。2019年の総選挙時には、当時のブレグジット党は一部選挙区で保守党候補を支援する動きを見せましたが、2024年の総選挙では全面対決し、保守党の大敗とReform UKの議席獲得につながりました。1, 13 ファラージ氏は「保守党は終焉に向かっている。我々がその役割を引き継ぐ」と繰り返し述べています。101

労働党との関係

Reform UKは右派政党ですが、旧労働党支持層、特にブレグジットを支持した労働者階級にもアピールしています。2025年のレンコーン&ヘルスビー補欠選挙での勝利は、労働党の牙城で労働者票がReform UKに流れた象徴的な出来事とされました。17 労働党にとっても、Reform UKの台頭は無視できない脅威となりつつあります。

他の右派・過激派勢力との関係

Reform UKは、極右や過激派とは一線を画す姿勢を意識しています。ファラージ氏はUKIP時代末期に党が過激化したことを理由に離党した経緯があり、Reform UKではトミー・ロビンソン氏(元EDL指導者、極右活動家)などとは距離を置いています。92 しかし、支持基盤の一部に極右的な主張を持つ人々がいることも事実です。

国際的な著名人との関係

ファラージ氏はアメリカのドナルド・トランプ前大統領と親しく、国際的な右派ポピュリスト運動ともつながりを持っています。また、実業家のイーロン・マスク氏とも面会しており、マスク氏がSNS上でReform UKやその関係者について言及したことも話題となりました。76 これらの動きは、Reform UKが国際的な潮流の一部であるという印象を支持者に与える一方で、批判の的にもなっています。

著名な支持者・シンパ

元内務大臣スエラ・ブラバーマン氏(保守党所属)の夫であるラエル・ブラバーマン氏が2025年にReform UKに入党したことは、保守党右派からの支持者流出の兆候として注目されました。106 その他、芸能界の人物や元ミス・イングランドなどが党のイベントに参加する姿も見られます。

党全体の影響力・内部構造・路線の変遷

影響力の拡大

2025年6月時点で、Reform UKは英国政治に大きな変化をもたらしています。下院議席は少数ながら、総選挙での得票では自由民主党を上回り第3党となり、地方政治でも広域市長職や多数の地方議会を掌握するに至りました。380107 世論調査では一時、支持率で主要政党を凌駕する数字も記録しました。22 この急伸の背景には、有権者の主要政党への不満があります。14年間政権を担った保守党は支持を落とし、2024年総選挙で大敗。109 代わって圧勝した労働党政権も、財政再建策などから早くも人気を減らしています。110 その結果、「保守にも労働にも任せられない」という層がReform UKに流れ込んでいるのです。

内部構造と路線の変遷

Reform UKの組織は、Brexit党時代から「党会社(Party Ltd)」という形態を取ってきた点が特徴です。これは、ファラージ氏らが党運営を会社法人として登記し、主要株主が党の実権を握る形です。113 この体制は機動的な意思決定を可能にする反面、党内民主主義に欠けるとの批判もありました。ファラージ氏は2024年の党首復帰時に株式の大半を信託に移し、自身の所有権を放棄しています。114

政策路線については、Brexitという単一の争点を掲げた党から、包括的な右派政党へと脱皮しました。改称後、最初の大きな路線変更は新型コロナウイルス感染症対策としてのロックダウンへの反対運動でした。4 その後、「英国を壊しているものを正す」というスローガンの下、移民抑制、増税反対、温暖化対策見直し、犯罪厳罰化など広範な政策を掲げるようになりました。党の基本スタンスは「過度なグローバリズムから英国の主権と伝統を守る」という点にあります。116

内部の課題

Reform UKは急成長ゆえの内部課題も抱えています。ファラージ氏の強力なカリスマ指導の下、組織の民主性や持続可能性に疑問を呈する声があります。53, 118 また、支持率がピークに達した後の勢いをどう維持するかも課題です。既成政党がReform UKの政策を取り込み始めると、抗議票は再び二大政党に戻る可能性があります。地方で実際に政権を担ったことで、政策の有効性も検証され始めています。

結論

2025年初頭現在、Reform UKはイギリス政治の中で確固たる存在感を示しています。ナイジェル・ファラージ氏という強烈な個性の下、多くの政治家たちが結集し、「壊れた英国を立て直す」と訴える姿は、熱狂的な支持と厳しい批判の両方を集めています。Brexit後の時代において、同党は単なる一過性の存在に終わらず、国政や地方政治にも影響力を広げ始めています。1107

しかし、その道のりはまだ始まったばかりです。勢いを保つには、内部の分裂を防ぎつつ、支持者に具体的な成果を示さなければなりません。メディアや専門家は「改革党は主張は勇ましいが、統治能力が試される」と指摘しています。28 今後、地方行政での結果や国政での影響力行使を通じて有権者の期待に応えられなければ、支持は急速に失われる可能性もあります。一方で、このまま二大政党への不満が収まらずReform UKが拡大を続ければ、将来的にイギリスの「第三の選択肢」として定着する可能性も否定できません。「Britain is broken. Britain needs Reform. (英国は壊れている。改革が必要だ)」という同党のスローガン120が、一時的な抗議の声に終わるのか、新しい政治潮流として歴史に刻まれるのか、その答えは今後数年間の彼らの活動と英国民の判断に委ねられています。

参考文献:引用文献

 

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