2025年4月22日にインド管理下のカシミール地方パハルガムで観光客を狙ったテロ事件が発生し、両国間の緊張は急速に高まりました。ここでは事件後のインドとパキスタンの動きを日ごとに整理し、緊張の経緯を解説します。
4月23日 – インドの迅速な報復措置
- インド政府はパキスタンからの越境テロと断定し、アタリ=ワガ国境の即時閉鎖を発表。インド国内のパキスタン人に対しては、5月1日までに国外退去を要求しました。
- 1960年以来続いてきたインダス川水利条約の履行停止を宣言。インドはパキスタン側がテロ支援を停止するまで、水資源の共有を拒否する構えを示しました。
- 南アジア域内協力連合(SAARC)特別査証制度の下でのパキスタン人入国を全面禁止し、すでに発給済みの査証も無効としました。
- ニューデリー駐在のパキスタン軍事駐在官を追放すると同時に、イスラマバード駐在のインド軍事顧問団も引き揚げることを決定しました。
4月24日 – パキスタンの強硬な対抗措置
- パキスタンはインドの措置に対し即座に反応し、インド人へのビザ発給を即時停止しました。
- インド籍航空機に対するパキスタン領空の全面閉鎖を実施。第三国経由便も含め、インド籍航空機は一切の飛行が禁止されました。
- 両国間の貿易も完全に停止され、外交官数もインド側と同様、30人まで削減。さらにインド軍の駐在員に4月30日までの退去命令を出しました。
- パキスタン政府は、インダス川条約停止を「戦争行為」として非難しました。
- さらに、1972年シムラ協定を含む二国間協定の履行停止を宣言し、外交関係の悪化が決定的になりました。
4月25日~27日 – 軍事的緊張の増加と前線での衝突
- インドとパキスタンの軍隊はカシミール実効支配線付近で数日間にわたり小規模な武力衝突を繰り返しました。双方が相手方の挑発行為だと非難を応酬。
- パキスタン軍はインド側からの偵察用ドローン2機を撃墜したと発表しました。
- 両国空軍がカシミール上空を示威飛行するなど、一触即発の状況が続きました。
- パキスタン国防相は「インドの軍事攻撃が差し迫っている」と警告を発し、緊迫感がさらに高まりました。
4月28日~5月1日 – インド政府のさらなる強硬措置
- インドのモディ首相は事件の犯人への強い報復を約束し、内務省も容疑者への掃討作戦を強化。容疑者と関係が疑われる建物2軒を破壊しました。
- この時期、両国は外交官や軍事顧問団を全員帰国させ、事実上外交ルートが完全に断絶しました。
- ただし、この間に国境を越えて拘束されていたインド兵1名は交渉の末、数日後に解放されました。
- 依然として緊張は高止まりし、両軍は国境地帯で頻繁に砲撃を交わしましたが、大規模な軍事攻撃には至りませんでした。
今後の展望 – 全面衝突の回避と緊張緩和の可能性
現状では全面的な軍事衝突こそ回避されていますが、外交関係は極度に冷え込んだままです。両国が核保有国であるため国際社会の懸念は高まっています。米国、中国、国連など国際社会は早急な対話再開を促しており、舞台裏では仲介外交が続けられていると見られています。
2025年4月のパハルガム襲撃事件後、印パ両国は極端な措置を相次いで実施し、両国間の緊張はここ数十年で最も危険なレベルに達しました。しかし、今のところ全面的な軍事衝突には至っておらず、国際社会も早期の対話再開を求めています。両国政府が今後どのように外交的な解決を図るのか、注目が集まっています。
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