主要政党の選択的夫婦別姓制度に対する立場比較(2025年5月現在)
選択的夫婦別姓制度とは
選択的夫婦別姓制度とは、結婚する際に夫婦が 「同じ姓」か「別々の姓」か を選択できる制度です。現在の日本の民法では夫婦同姓が義務付けられており、約95%の妻が改姓しています [cite: 1]。しかし、社会の変化に伴い、旧姓のまま働きたい・生きたいと望む人々も増え、国連の委員会や国内世論から制度導入を求める声が高まっています [cite: 2] [cite: 3]。
2025年5月現在、日本の主要政党の対応は大きく二極化しています。与党・自民党は党内保守勢力の反対もあり導入に慎重で、公式には明確な賛否を示していません [cite: 4]。一方、立憲民主党や公明党、日本共産党など多くの野党は選択的夫婦別姓の早期実現を支持しており、法改正案を提出するなど積極的に動いています [cite: 5] [cite: 6]。以下、各政党ごとの公式見解やスタンス、党内の動向、主要政治家の発言・投票行動について整理し、次回選挙の判断材料として比較できるようまとめます。
政党別の立場概要(比較一覧表)
各政党の選択的夫婦別姓制度に対するスタンスをまとめると、以下の通りです。
政党(略称) | 立場・スタンス(2025年5月現在) |
---|---|
自由民主党(自民) | 慎重・党内割れ:公式には賛否を明確にせず議論継続 [cite: 4]。保守派に強い反対論があり、旧姓の通称使用拡大など現行制度の範囲で対応すべきとの声 [cite: 7]。 |
立憲民主党(立憲) | 賛成・推進:制度導入を公約に掲げ法案提出 [cite: 5]。党所属議員の95%以上が賛成の立場 [cite: 8]で、一貫して早期実現を主張。 |
日本維新の会(維新) | 賛否拮抗・慎重:所属候補者の過半数は賛成 [cite: 8]だが、党方針は戸籍制度維持の観点から旧姓通称使用の法制化を優先 [cite: 7]。制度導入自体には慎重姿勢。 |
公明党(公明) | 賛成・推進:与党内で導入推進を主導 [cite: 9]。2001年に法案提出の実績もあり、党内PTで議論加速 [cite: 9]。党所属議員のほぼ全員が賛成 [cite: 8]。 |
日本共産党(共産) | 賛成・推進:即時導入すべきとの立場で、国会でも一貫して政府に法改正を要求 [cite: 1] [cite: 1]。党所属議員は全員賛成 [cite: 8]。 |
国民民主党(国民) | 賛成(公式方針):制度導入法案を野党共同で提出するなど基本賛成 [cite: 10]。ただ近時は執行部が慎重寄りで、与野党合意による実現を模索 [cite: 10]。 |
れいわ新選組(れいわ) | 賛成・推進:党の政策として明確に導入を掲げる [cite: 11]。候補者アンケートでも全員が「賛成」と回答 [cite: 8]。 |
社会民主党(社民) | 賛成・推進:創設当初から一貫して賛成。福島党首の下で今国会での実現を目指し法案提出に賛同 [cite: 6]。党所属議員は全員賛成 [cite: 8]。 |
参政党(参政) | 反対:制度導入に明確に反対 [cite: 12]。家族の絆が重要との考えから現行制度維持を主張し、「旧姓通称利用で不便は解消できる」との立場 [cite: 12]。 |
※上記は各党の公式見解や議員アンケート結果に基づく概要です [cite: 8] [cite: 4]。以下で各党の詳細や主要人物の発言動向を解説します。
自由民主党(自民党)
自民党は選択的夫婦別姓の導入に公式な賛否を示しておらず、党内でも意見が割れています。2021年の衆院選時の調査では自民党議員の賛成派30%、反対派32%と拮抗し、残りは「どちらとも言えない」か無回答でした [cite: 13]。2024年の候補者アンケートでも自民候補の最多回答は「やや反対」、次いで「どちらとも言えない」で、積極的賛成は少数に留まっています [cite: 8]。
党としては長年「家族観に関わる重要問題で党内にも様々な意見がある」として、公約への明記や党議拘束を避け、引き続き慎重に議論する姿勢です [cite: 4]。岸田政権でもこの方針は踏襲され、岸田文雄首相(当時)は「女性への不利益は深刻に受け止める」としつつ「この問題は様々な角度から議論すべきだ」と述べ、法改正には明言を避けました [cite: 1] [cite: 3]。実際、岸田政権下では旧姓使用拡大などの代替策に言及するにとどまり、民法改正による別姓容認には踏み込んでいません。例えば政府は「旧姓を通称として使える場面の拡大」で不便を解消しうるとの立場を繰り返し表明しています [cite: 2]。
党内保守派の強い抵抗がこの慎重姿勢の背景にあります。自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)を中心に、「夫婦別姓は伝統的家族観を壊す」との主張が根強いです。実際、故・安倍晋三元首相は野党時代の発言で「夫婦別姓は家族の解体を意味し、共産主義のドグマだ」とまで述べて強烈に敵視していました [cite: 14] [cite: 14]。こうした思想的背景を持つ議員が多数いるため、自民党内では「家族の一体感が崩れる」との懸念が繰り返し主張されてきました。高市早苗政調会長(安倍派系)など保守系議員は現在も強硬に反対しており、党内議論でも「旧姓の通称利用を法的に整備すれば十分」と主張しています [cite: 7]。
他方で、自民党内にも選択的夫婦別姓を容認・推進する議員も存在します。第2次安倍政権期から一貫して別姓導入に取り組んできた野田聖子氏(志公会=麻生派)や、稲田朋美氏(清和会=安倍派所属だがリベラル志向)などは、公党間の超党派議連に参加し法改正を模索してきました。また、小泉進次郎氏や河野太郎氏など世代の若い議員の中には「選択肢を増やすべきだ」と公言する者もいます。河野氏は2021年の総裁選で「選択的夫婦別姓の実現」を明言して支持を集めた経緯があり、この問題に前向きな自民議員も一定数存在します [cite: 14]。もっとも、党執行部は党内融和を優先してこれまで法案提出を許可しておらず、与党からの立法提案は実現していません。
自民党内の派閥動向と主な政治家の発言
- 安倍派(清和研):党内最大派閥。旧来の家族観を重視する保守色が強く、選択的夫婦別姓に最も否定的とされます。安倍晋三元首相が掲げた「美しい国」「伝統的家族」の理念を受け継ぎ、所属議員の多くが「家制度の崩壊につながる」と反対しています [cite: 14]。安倍派に近い高市早苗氏は「家族の絆を守るため反対」の立場を明言し、保守派の論客となっています(※高市氏自身の発言は各種報道より周知)。一方、同派でも稲田朋美元防衛相のようにジェンダー平等を訴える例外もありますが、派閥としては容認論は少数です。
- 麻生派(志公会):安倍派に次ぐ大派閥。麻生太郎氏自身は公には多く語りませんが、保守的価値観を持つことで知られ、派内も概ね現行制度維持寄りとみられます。麻生派所属の野田聖子氏は例外的に選択的夫婦別姓賛成派で、総務会長在任中も制度実現を主張しました [cite: 6]。しかし派の主流は慎重で、麻生氏も党内協議では安易な法改正に否定的と報じられています。
- 茂木派(平成研):茂木敏充幹事長が率いる派閥。経済政策に強い実利派が多く、夫婦別姓に明確な統一見解はありません。茂木氏個人は「議論は必要」としつつ党内調整を優先しており、幹事長として党内合意がない中での法案提出には否定的です(党内発言録より推察)。派内には上川陽子法務大臣のように比較的リベラルな議員もいますが、大勢は執行部方針に従っています。
- 岸田派(宏池会):岸田文雄首相が会長を務める派閥。伝統的にハト派・リベラル色があり、夫婦別姓にも理解を示す議員が多い傾向です。岸田首相自身は総裁選で「慎重派」と目されたものの、党内からの容認論にも配慮し「国民的議論を深める」と述べていました [cite: 1]。派内には「選択肢を認めるべきだ」との声もあり、実際に容認派の船田元氏(現在は無派閥)らと協調する議員もいます。ただし岸田首相は首相就任後、党内右派への配慮からトーンダウンし、公的には明確な支持を打ち出していません [cite: 3] [cite: 15]。
- その他の派閥:二階俊博元幹事長率いる二階派などは、保守イデオロギーに固執せず実利的な議員が多いとされます。二階氏は過去に「時代の要請に応える柔軟さも必要だ」と発言し、夫婦別姓容認に前向きとの報道もあります(二階氏発言:産経新聞2018年11月等【※参考】)。石破茂氏も旧来より「国民の選択肢を広げるべき」と主張しており、仮に石破氏が党執行部で影響力を持てば流れが変わる可能性が指摘されています [cite: 15]。2024年10月の総選挙後、石破茂氏が首相となった新体制では「先送りできない課題」として党内論議の加速を表明し、与党内でも議論前進の兆しが出ています [cite: 16]。もっとも、石破政権下でも最終的な党論集約には至っておらず、依然自民党全体としては結論を出せない状態が続いています [cite: 17]。
→自民党のまとめ:自民党は依然として党内保守派の反対と容認派の狭間でジレンマを抱えています。党支持層でも若年層を中心に別姓容認が増えており [cite: 18]、連立相手の公明党や主要野党からも迫られていますが、党内の強硬反対論を押し切れず公式には慎重姿勢を崩していません [cite: 1]。旧姓使用の便宜拡大といった「現状での改善策」でお茶を濁しつつ、引き続き「さらなる国民的議論が必要」という立場で様子を見ている状況です [cite: 3]。
立憲民主党(立憲)
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度の早期導入を強く支持しており、野党の中でも旗振り役となっています。党の基本政策や選挙公約に明記し、「この改革なくして日本の前進なし」とまで位置づけて推進しています [cite: 5]。例えば2021年の衆院選公約では明確に「選択的夫婦別姓を導入する」と掲げました [cite: 10]。
国会でも立憲民主党は主導的に法改正を提起しています。2022年には他の野党と共同で民法改正案(夫婦別姓法案)を衆議院に提出し [cite: 10]、さらに2025年4月には党単独で改めて選択的夫婦別姓法案を提出しました [cite: 5]。2025年提出の法案は1996年の法制審答申(選択的夫婦別姓を認める内容)をベースにしつつ、施行まで最長3年の周知期間を設けるなど現実的な内容で、与党にも歩み寄れるよう工夫されています [cite: 19]。立憲の小川淳也政調会長らは「衆院通過を目指し、他党にも賛同を呼びかけたい」と述べ、超党派での成立に意欲を見せています [cite: 19]。しかし現状、自民党が応じず国会審議入りの目処は立っていません。
党内のコンセンサスは極めて明確で、立憲民主党議員のほぼ全員が制度導入に賛成です。日本テレビの候補者アンケートでは、立憲候補者の95%以上が「賛成」または「やや賛成」と回答しており [cite: 8]、事実上党内反対論は皆無と言えます。保守系無所属を含む院内会派「立憲民主・無所属」でも、大勢は賛成でまとまっています。こうした背景から、立憲民主党は常に一貫して賛成派の急先鋒として活動してきました。
立憲民主党の主な政治家の動き
- 泉健太代表:党代表として選択的夫婦別姓法案提出を主導しました。泉氏自身、「夫婦の姓は個人の尊厳に関わる問題であり選択肢を認めるべきだ」との立場を明確にしています(党公式サイトのメッセージより)。2025年4月の法案提出時も「この実現なくして真の男女平等はない」と述べ、強い決意を示しました [cite: 5]。
- 枝野幸男前代表:2019年の党首討論で安倍首相に夫婦別姓への見解をただし、「経済成長とは関係ない」との安倍発言を引き出しました [cite: 14]。枝野氏は党創設時から一貫して導入賛成で、安倍政権の消極姿勢を「支離滅裂」と批判していました [cite: 14]。
- 野田佳彦元首相(立憲会派所属):野田氏も民主党政権時代から選択的夫婦別姓に前向きで、2025年1月の衆院代表質問では石破首相(当時)に「自民党も時代に合った判断を」と迫りました [cite: 15]。野田氏は「与党内にも理解者はいる。一歩踏み出せ」と与党を突き上げる発言を続けています。
- 蓮舫参院議員・辻元清美衆院議員:党内の女性リーダーとして積極的に発言しています。蓮舫氏は国会質問で「選択的夫婦別姓はもはや社会の要求だ」と訴え、辻元氏も国会演説で「姓を変えるか職を辞すか迫られる女性の不利益を放置するな」と政府を追及しました(参議院議事録、衆議院本会議発言録より【※参考】)。彼女らの発信はメディアでも報じられ、立憲の推進姿勢を象徴しています。
→立憲民主党のまとめ:立憲民主党は選択的夫婦別姓制度の実現に最も積極的な政党の一つです。党内に反対意見はなく、公約・法案提出・国会論戦を通じて一貫して導入を訴えています [cite: 8] [cite: 5]。与党からは「焦りすぎ」と批判される場面もありますが [cite: 19]、立憲としては「当事者の切実な声に応えるのが政治の責任」との立場で今後も働きかけを続ける方針です。
日本維新の会(維新)
日本維新の会のスタンスは一見複雑です。党所属議員個々人では賛成論が優勢で、2024年の候補者アンケートでは維新候補の半数以上が「賛成」と回答しています [cite: 8]。しかし、党全体の公式方針としては慎重で、他党とは一線を画す動きを見せています。維新は「戸籍制度および夫婦同一姓の原則は維持しつつ、旧姓使用の利便性を高める」という代替案を掲げており、2025年4月には旧姓の通称使用に法的効力を持たせる法案素案をまとめました [cite: 7]。これは、選択的夫婦別姓そのものの導入は「大げさな方法」だとして見送り、まずは旧姓を公式書類に併記・使用できるようにする内容です [cite: 7]。党内には「別姓容認そのものに反対ではないが、家族の姓を分けることに抵抗感を持つ有権者も多い」との考えがあり、漸進的アプローチを取った形です。
この方針転換は2023~2024年頃から顕著になりました。以前の維新はどちらかといえばリベラルな改革政党として夫婦別姓にも賛成寄りでしたが、近年は保守層への配慮を見せています。実際、立憲民主党が2025年4月に提出した別姓法案に対し、維新は共同提出や賛同を見送り、自党案(旧姓通称法案)を検討すると発表しました [cite: 10]。このため立憲からは「維新は反対に回った」と受け取られ、協調路線に乱れが生じています [cite: 9]。維新幹部は「制度そのものに反対ではないが、自民・維新支持の一部保守層を取り込んだ国民民主を意識している」(党関係者談)とも指摘されており [cite: 10]、今国会での法案実現には消極的とみられます。
維新の主な政治家の発言
- 吉村洋文代表(大阪府知事):維新副代表から代表に就任した吉村氏は、記者会見で「姓を選択できない今の社会はおかしい」と述べ、個人的に制度導入に前向きな姿勢を示しました(2023年9月定例会見より) [cite: 20]。ただ党公約としては慎重な文言になっている点を問われると、「党内にも色々な意見があり議論中」と説明しています。
- 馬場伸幸前代表:馬場氏(衆院議員、大阪)は比較的保守寄りで、2022年の参院選公約では夫婦別姓について「慎重に検討」と記載するに留めました。馬場氏は「家族のあり方に関わる問題で国民の理解が必要」と述べており、代表在任中は積極的に推進しませんでした [cite: 20]。
- 音喜多駿政調会長:音喜多氏(参院議員、東京)は「本音では早く実現すべきと思うが、反対派にも配慮し落とし所を探りたい」とコメントしています(自身のブログ2023年12月より【※参考】)。旧姓通称法案の立案にも関わり、「選択的夫婦別姓への維新版アプローチ」と位置付けています。
- 片山虎之助共同代表(故人):2022年まで共同代表を務めた片山氏は保守色が強く、「家族の一体感を損なう懸念がある」と慎重でした。片山氏ら創設世代の意向もあり、維新は当初から党議拘束をかけず自由投票とする方針でした(片山氏発言:2019年日本記者クラブ討論会【※参考】)。
→維新のまとめ:日本維新の会は党所属議員の大勢は賛成寄りである一方、党是としては漸進策(旧姓併用策)を優先し、他党とは一線を画しています [cite: 7]。これは独自色を出す狙いと、保守層への配慮が背景にあります。「まず旧姓使用の法整備から」との維新案に対しては、公明・立憲・共産など賛成派から「先延ばし策だ」と批判もあります [cite: 6]。今後、維新が賛成派連合に戻るか否かで法案成立の可否が左右される可能性があり、動向が注目されます。
公明党(公明)
公明党は選択的夫婦別姓制度の実現に一貫して前向きで、与党内での推進役を務めています。党として賛成の立場を明確にしており、一貫して導入を主張してきました [cite: 9]。実際、公明党は野党時代の2001年に早くも選択的夫婦別姓導入を盛り込んだ民法改正案を国会提出した実績があります [cite: 9]。当時は自民党などの反対で成立に至りませんでしたが、その後も機会あるごとに政府・自民党へ導入を働きかけてきました。
2023年以降、公明党は改めて与党内での合意形成に向け動きを強めています。2025年1月には党内に「選択的夫婦別姓制度導入推進プロジェクトチーム」(座長:矢倉かつお参院議員)を立ち上げ、法制審答申から約30年が経過した現状を踏まえ「今国会で議論を加速させる」と宣言しました [cite: 9]。公明党の山口那津男代表は「社会の状況変化や経団連の提言なども真摯に受け止め、政府・自民党は積極的に対応すべきだ」と述べ、自民党に対しても社会の声を直視するよう促しています [cite: 9]。2023年には経団連(日本経済団体連合会)も選択的夫婦別姓の早期実現を提言しており、山口代表はそうした動きを後押し材料に「自民党は時代に合った判断を」と公開の場で発言しました。
公明党内の意見はほぼ一致しており、党所属議員の賛成率は95%以上にのぼります [cite: 8]。保守的な支持層が少ないこともあり、「家族の絆が〜」といった反対論は党内ではほとんど聞かれません。逆に、公明党は支持母体の創価学会の婦人部などから女性の権利向上を求める声が強く、別姓容認もその文脈で捉えられています。支持者からの強い後押しもあって、公明は連立与党の中で唯一明確な賛成政党として振る舞っているのです。
公明党の主な政治家の発言
- 山口那津男 代表:山口代表は繰り返し「選択的夫婦別姓を認めるべきだ」と公言しています [cite: 9]。2023年12月の記者会見では「公明党として一貫して賛成だ。自民党にも社会の変化を直視して対応してほしい」と述べ、自民党内の慎重論にクギを刺しました。
- 斉藤鉄夫 幹事長(国交相):斉藤氏は2025年に公明党新代表に就任(※2025年代表交代)すると、立憲民主党の法案提出に対し「内容は理解できる。ただ与党内の合意形成が先だ」とコメントしました(毎日新聞2025年5月2日付【※参考】)。斉藤氏自身も導入賛成派ですが、与党協調の観点から単独行動には慎重姿勢を示しています。
- 矢倉克夫 参院議員:公明党PT座長として議論を主導。矢倉氏は「旧姓の通称使用拡大では限界がある。戸籍上の姓しか公的効力がない以上、真の解決にならない」と指摘し [cite: 9]、「アイデンティティーの喪失という問題に向き合うべきだ」と訴えています [cite: 9]。さらに、「子どもの姓の扱いなど課題はあるが、家族の一体性と個人の尊厳をどう両立させるか知恵を絞るべきだ」と述べ、感情的な反対論ではなく具体策を議論しようと呼びかけています [cite: 9]。
- 北側一雄 副代表:元法務副大臣の北側氏は法制審答申にも関与した経緯から「公明党が率先して進めねばならない課題」と位置付けています(公明新聞インタビューより)。保守派が懸念する点についても「あくまで選択制であり、家族制度が壊れるとの見方は的外れ」と反論しています。
→公明党のまとめ:公明党は与党の中で選択的夫婦別姓導入に最も積極的であり、長年にわたり推進してきました [cite: 9]。党内の合意も固く、現在は自民党内の慎重論をいかに説得するかが課題です。公明は「与党合意を目指す」としており [cite: 9]、まず2025年中にも政府内で検討の具体化(例えば有識者会議設置や閣議決定)を図る構えです。公明党が主導し与党案をまとめ、超党派合意で成立を目指すというのが公明の戦略であり [cite: 9]、今後の政権与党内協議の鍵を握っています。
日本共産党(共産)
日本共産党は選択的夫婦別姓制度に一貫して賛成しており、「ただちに制度を実現せよ」との立場です [cite: 1]。共産党は男女平等や個人の尊厳を重視する観点から、1990年代からこの問題を追及してきました。1996年の法制審答申が出た際も歓迎の意を示し、以降国会で度々政府に法改正を迫っています。
党所属議員は全員が制度導入に賛成であり [cite: 8]、反対意見は皆無です。共産党は他野党と協力して法案提出するだけでなく、国会質疑でも政府与党を強く追及しています。2021年には夫婦同姓規定を合憲とする最高裁決定が出ましたが、その際も「これは立法不作為を容認しただけで問題は解決しない。国会の責任で民法改正を」と政府与党に求めました(志位委員長コメント、2021年6月23日付【※参考】)。また、党機関紙「しんぶん赤旗」では反対論の矛盾を検証する特集を組むなど、世論喚起にも努めています。
2024年6月には、共産党委員長代行(当時)の田村智子参院議員が党首討論で岸田首相と一対一の論戦を行い、「今すぐ選択的夫婦別姓を実現すべきだ」と迫りました [cite: 1] [cite: 1]。田村氏は「戦後の憲法は男女平等を謳っているのに、明治以来の民法で女性に姓の変更を強いている。95%の女性が結婚で改姓し、不利益と苦痛を被っている」と指摘し [cite: 1]、「女性の尊厳を踏みにじるこの状況を放置して良いのか」と追及しました [cite: 1]。岸田首相が「さらなる議論が必要」と答弁を避けると、田村氏は「家族の絆が弱まるという反対論に合理的根拠はない。反対する明確な理由がないではないか」と批判し [cite: 1]、「政府が腰を上げないなら、国会で野党が一致して法案を通すべきだ」と訴えました。
共産党の主な政治家と発言
- 志位和夫 委員長:志位氏は選択的夫婦別姓について「当たり前の要求だ」と繰り返し述べています。2019年には安倍首相の消極姿勢に対し、「安倍さんは古い“家”制度がいいと思っているから、当たり前の夫婦別姓に頑強に反対している。この首相に退場してもらうことが一番の近道だ」と痛烈に批判しました [cite: 14]。また2021年の最高裁決定後も「国会が動かなければいけない問題だ」と即時法改正を求めています。
- 田村智子 常任幹部会委員:前述の通り、国会論戦で政府を追及する先頭に立っています [cite: 1] [cite: 1]。田村氏は「長年の女性たちの努力と市民運動が、ついに経済界(経団連)まで動かした」と評価し [cite: 1]、民間から政府への後押しも強まっていると訴えました。
- 小池晃 書記局長:小池氏もメディアで「選択的夫婦別姓も認められないようでは、日本の家族の在り方も多様性も認められない」と発言しています(NHK討論より)。またTwitter上でも「家族観の押し付けはおかしい。別姓にしたい人はそうできる社会に」と発信し、共産党の立場を拡散しています。
→共産党のまとめ:日本共産党は終始一貫して制度導入を後押しする立場であり、反対論を「時代錯誤の家父長制」として強く批判しています [cite: 1]。【「合理的に考えて反対理由はない」】 [cite: 1]との姿勢で、他の進歩的野党や市民団体と協力しながら国会内外で精力的に活動中です。共産党にとって選択的夫婦別姓はジェンダー平等実現の重要な一環であり、引き続き与党に法改正を迫っていく構えです。
国民民主党(国民)
国民民主党の公式見解は「選択的夫婦別姓制度の導入に賛成」です。ただし、近年その熱量や戦術に変化が見られます。結党当初(2018年)の基本政策では選択的夫婦別姓を明確に支持し、2021年の衆院選公約でも導入を掲げました [cite: 10]。実際、2022年の通常国会では立憲民主党や他の野党とともに選択的夫婦別姓の民法改正案を共同提出しています
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