2025年カシミール襲撃事件後のインド・パキスタン関係動向(5/13時点)
4月22日:カシミール襲撃事件の発生と背景
2025年4月22日、インドが実効支配するジャンムー・カシミール (南カシミールのパハルガム近郊バイサラン渓谷)で武装集団が観光客グループに対し銃撃を行い、インド人観光客を中心に少なくとも26人が死亡、30人以上が負傷する惨事となりました12。この地域で観光客が標的となる大規模攻撃は数十年で最悪のもので、近年沈静化していたカシミールの民間人に対するテロとして異例の規模でした2。襲撃は観光地パハルガム近郊の草原地帯で発生し、目撃者によれば複数の武装犯が至近距離から無差別に発砲したと報じられています34。犯行直後、「カシミール・レジスタンス」と名乗る聞き慣れない武装組織が一時犯行声明を出し、近年インド政府の政策で約8万5千人もの「部外者」がカシミールに移住していることへの不満から「今後、違法な入植者は暴力の標的になる」と主張しました5。ただしこのグループは後に関与を否定したとも伝えられ、真の実行犯は特定されていません1。インド治安当局は襲撃犯3名の氏名を公表し、そのうち2名はパキスタン国籍だったと主張しています。一方、パキスタン政府は事件への関与を強く否定し、インド側の主張について「インドがパキスタンに対する措置を正当化するため自作自演したものだ」と非難しました78。
この襲撃は、カシミール紛争の文脈でも異例の標的選択でした。ヒンドゥー教徒を含む国内外からの観光客が犠牲となったことでインド国内の世論は激昂し、同地域選出の指導者オマル・アブドゥッラーは「近年の民間人標的の攻撃としては類を見ない規模だ」と述べています910。ナレンドラ・モディ首相は事件当日「この凶行に関与した者は断じて逃れられない。テロリストとその支援者を大地の果てまで追跡し、裁く」と表明し11、「テロと戦う我々の決意は不動であり、今まで以上に強固なものとなる」と強調しました11。インド政府は犯行グループの背後にパキスタンの支援があると示唆し、事態は一気に両国関係の悪化に繋がっていきました12。
インドの初期対応(4月23~24日):外交関係の格下げ
襲撃から翌日にかけて、インド政府はパキスタンに対し厳しい対抗措置を相次ぎ発表しました。まず4月23日、両国間で唯一の陸路国境となっているアタリーワガ (ワガ) 検問所の即時閉鎖を実施し、パキスタンとの主要国境を遮断しました13。さらに、1960年に締結され長年機能してきたインダス (インダス川) 水利条約の効力を停止し、パキスタンへの送水を事実上制限すると通告しました1415。インダス条約は二度の印バ戦争をも生き延びてきた重要条約であり、一方的停止には本来規定がないものですが、インド側は「今回の措置は外交関係を格下げする一環」であると説明しています15。加えて、在ニューデリーのパキスタン高等弁務官事務所 (大使館に相当)の武官を1週間以内に退去させ、5月1日以降同公館の定員を30名に削減する措置も発表されました16。インド国内に滞在するパキスタン人に対しても査証(ビザ) 発給済みのものを無効化し、一部には48時間以内の出国を命じるなど、人の往来を厳しく制限する措置も取られています17。南アジア地域協力連合 (SAARC) の枠組みで両国間に存在したビザ免除制度 (SVESビザ)も停止され、パキスタン国民のインド渡航は宗教的巡礼などの例外を除き事実上不可能となりました18。これらの一連の措置は、インド政府がパキスタン政府に対し「テロリストを支援している」と非難し強硬姿勢を示す中で打ち出されたもので、両国間の人的・経済的交流を急速に断つ内容でした1920。
インド側の強硬措置により、両国関係は実質的に2019年の外交関係断絶以来さらに冷え込む事態となりました。水利条約停止については、パキスタンが長年インダス川水系の水資源の約80%に依存している経緯もあり、同国にとって死活的問題です2122。インド側の発表を受けてパキスタン国内では反発が強まり、各地で抗議デモが発生しました2324。パキスタン政府はインドの動きを「自国への明白な主権侵害」と捉え、国家安全保障会議 (NSC) を招集して対策協議に入りました25。
パキスタンの報復措置 (4月25日):対抗的な断交手段
インドの措置に対し、パキスタン政府も4月25日に報復的な対抗措置を発表し、両国間の溝は一層深まりました。パキスタン側は「インドに対するあらゆる二国間協定を一時停止する権利」を行使すると宣言し、具体的措置として以下を実施しています26:
- 国境閉鎖と人の往来停止: インドとの主要陸路であるワガ国境の即時閉鎖を実施し、インドからパキスタンへの越境移動を全面停止27。
- 貿易関係の遮断: インドとの全ての貿易を即時停止すると発表しました(パキスタン経由の第三国との貿易トランジットも含む)28。これにより両国間の公式貿易は完全に途絶し、第三国経由で行われていた迂回貿易にも支障が生じる見通しです29。実際、パキスタンは同日インド航空機に対して自国領空を閉鎖し、インド発着便は遠回りや欠航を余儀なくされました30。
- ビザ無効化と国外退去: パキスタン国内にいるインド人に発給済みのビザを全て無効化し、シーク教徒巡礼者を除く全インド国民に48時間以内の出国を命じました。今後インド人への新規ビザ発給も停止されています。
- 外交使節の削減: 在イスラマバードのインド高等弁務官事務所からインド軍武官の退去を要求し(期限4月30日)、同日以降同公館人員を最大30名に削減すると通告31。これはインド側が科した制限と鏡写しの措置です。
- 航空・交通の遮断: パキスタン領空のインド航空機に対する即時閉鎖を実施 (インド側発表の翌日)、さらにパキスタン領海へのインド船舶の寄港禁止とパキスタン船舶のインド寄港禁止も打ち出されました32。
- 郵便・通信の遮断: 5月3日から両国間の郵便・小包サービスを停止することも一方的に決定されました32。
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は声明で、「インダス川の水流をせき止めたり方向を変えようとするいかなる試みも 『戦争行為』と見なし、国家のあらゆる力をもって対処する」と警告し、インドによる水利条約停止を強く非難しました22。この「国家の全分野での力を行使する」との表現は核戦力を含む報復を示唆するものであり、水資源を巡る対立が核保有国同士の重大な安全保障懸念に発展した形です22。また同首相は「インドが昨夜犯した途方もない過ちの代償を払わせる」とテレビ演説で述べ、パキスタンとして断固たる対応を取る決意を示しました33。パキスタン外相も「インド政府の姿勢は一方的かつ敵対的だ」と非難し、インドの主張を「無責任だ」と退けています34。
これらの相互措置により、両国は外交関係を事実上最低限にまで格下げし、貿易・交通・人的交流を全面的に遮断する事態となりました3536。印パ間では2019年のプルワマ事件後にも外交関係断絶と貿易停止がありましたが、今回は水利条約の停止や空域封鎖など前例の少ない領域にまで及んでおり、対立の深刻さがうかがえます。
さらなる緊張激化(4月末~5月上旬):国際的懸念と声明
4月末にかけても互いの対抗措置のエスカレートが続きました。インド政府は4月30日から5月3日にかけて追加通達を発し、前述のパキスタン航空機に対するインド領空の閉鎖 (5月1日から5月23日まで)や、パキスタン原産品・経由品のインドへの輸入禁止、双方の船舶の相手国港湾への寄港禁止、郵便物の交換停止などを次々と実施しました32。これにより人的交流のみならず物流・通信まで遮断され、経済面への影響も懸念されています37。実際、空域閉鎖によりインドと欧米間の航空路線は遠回りを余儀なくされ、両国の株式市場や通貨にも緊張が反映されました3839。特にパキスタン側はIMF支援下で脆弱な経済再建の途上にあり、この危機による市場不安や貿易停滞は大きな打撃となりえます40。
国際社会も両国間の急激な対立激化に強い懸念を表明しました。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は双方に「最大限の自制」を求め、近隣の中国やロシア、イギリスなども緊張緩和を促す声明を出しました41。アメリカのドナルド・トランプ大統領(当時)は「インドとパキスタンには自分たちで問題を解決してほしい。もし助けになれるなら喜んで協力する」と述べ、事態沈静化を呼び掛けています42。一方でイスラム諸国の代表機関であるイスラム協力機構 (OIC) は5月5日にニューヨークで声明を出し、「南アジアにおける治安情勢の悪化に深い懸念」を表明するとともに、インドによるパハルガム襲撃事件の扱いに疑義を呈しました43。これに対しインド外務省は翌6日に「OICの声明は事実関係を無視した的外れなものだ。パハルガムでのテロ攻撃とその越境的な繋がりを認めず、パキスタンがOICを扇動している」と強く反発し、同声明を「政治的動機による干渉」として一蹴しています4443。このように、第三国や国際機関の働きかけもインド・パキスタン双方の強硬姿勢を和らげるには至らず、5月初旬には緊張がピークに達しました。
軍事衝突: 「シンドール作戦」の実行 (5月7日)
外交関係の断絶にとどまらず、5月7日未明には印パ間の軍事的対立がついに表面化しました。
インド軍は5月7日未明、「シンドール作戦 (Operation Sindoor)」と銘打ってパキスタンおよびパキスタン占領下カシミール (PoK) 内の合計9か所に対しミサイルを用いた空爆を実施したと発表しました4546。標的となったのはイスラム過激派組織ジャイシュ・エ・ムハンマド (JeM) やラシュカレトイバ (LeT) の関連施設(戦闘員の訓練キャンプや武器庫、勧誘センターなど)であり、インド側は「テロリストのインフラ」を精密兵器で破壊したと主張しています4748。インドのシン・国防相は「我々が設定した目標は周到な作戦計画の下で正確に破壊された。民間人や民間インフラに被害が及ばぬよう最大限の自制と精密兵器の活用に努めた」と述べ、必要最小限の先制攻撃だったと強調しました4950。実際、今回の空爆ではパキスタン軍の施設は直接の標的から外されており、インド政府は「更なる事態悪化を避けるためだ」と説明しています47。
今回インドが攻撃対象とした地点には、パキスタン最大の都市ラホールを擁するパンジャブ州内の施設も含まれていました45。同州が空爆を受けるのは1971年の第三次印パ戦争 (バングラデシュ独立戦争) 以来初めてのことであり、核保有国同士による約半世紀ぶりの本格軍事衝突との評価もなされています4546。インド政府関係者は各国の駐インド外交団13か国に対しブリーフィングを行い、「もしパキスタンが軍事的に報復すれば、インドもさらなる対応を取る」と通告しました5152。この発言は、状況次第で全面戦争に発展しかねないとの国際的な不安を高めています51。
インドの攻撃に対し、パキスタン側は激しく反発しました。パキスタン軍当局によれば、インド軍はパンジャブ州やパキスタン管理下カシミールの6か所を攻撃し、そのうち3か所にミサイルが着弾、少なくとも民間人31人が死亡、46人が負傷したと主張しています5354。標的とされた施設についても「一切テロキャンプではなく、インドは無実の市民を虐殺した」と非難しました5556。実際、パキスタン側カシミールの州都ムザファラバード市内中心部ではビラル寺院というモスク兼イスラム神学校が空爆で大破し、中にいた市民3人が死亡しました57。地元住民によると同施設には居住区域も併設されており、遺体や生活用品が瓦礫の中から散乱する惨状が確認されています5758 (インド側はこの施設が「テロリストの拠点」であったと述べていますがパキスタンは否定)。シャリフ首相は国営テレビで演説し「インドは昨夜途方もない過ちを犯した。その代償を必ず払わせる」と述べ、「我々が尻込みするとでも思ったのか。忘れるな、ここには勇敢な民がいるのだ」と国民に向け訴えました33。首相府はまた声明で「罪なきパキスタン人の命と主権侵害への報復として、パキスタンは自らが選ぶ時と場所、方法で対応する」と宣言し、即時の反撃ではなく冷静に報復の機会を見定める方針を示しました33。パキスタンのホージャ・アシフ国防相も「我々は報復に際し、インドの軍事目標のみに限定して対応する。民間人を標的にすることはない」と述べ、国際世論に配慮しつつも確実に軍事的反撃を行う構えを見せています59。
5月7日当日は、空爆に呼応してカシミール実効支配線 (LoC) 周辺でも双方の陸軍部隊による激しい砲撃戦・銃撃戦が発生しました60。インド側発表では自国側カシミールで民間人10人が砲撃により死亡、負傷者も48人に上ったとされ、パキスタン側も少なくとも6人の死者を報告しています6061。パキスタン軍はこの過程でインドの戦闘機や無人機を5機撃墜したとも主張しましたが、インド政府は公式には確認していません6263。ただインド側でも同夜に自軍の戦闘機3機がヒマラヤ地域内で墜落し、パイロットが負傷したとの地元当局者の証言があり(原因は不明)、作戦の緊迫度を物語っています6264。一連の軍事衝突により、印パ両国は2003年以来維持されてきたカシミールにおける停戦ラインの平穏を事実上破棄し、局地的ながらも約20年ぶりとなる深刻な軍事衝突に突入しました46。専門家は「2019年の衝突時をはるかに上回る規模のインド側攻撃であり、パキスタンも相応の報復に出る可能性が高い」と分析しており、核保有国同士の報復合戦へのエスカレーションが懸念されています65。
なお、インドの「シンドール作戦」という名称はヒンディー語で既婚女性がつける赤い染粉 (シンドゥール、朱砂)に由来し、攻撃目標に「赤い印をつける」との含意があるとされています66。インド側は今回の攻撃について「今後のテロ攻撃を未然に防ぐための先制的措置」だったと説明しており、「いったん軍事行動は停止したが、再びテロが起こればいつでも再開する」との立場を取っています67。一方パキスタン側は空爆被害施設に国連軍停戦監視団の現地調査団を招き入れるなど、インドの主張する「テロ拠点」説を打ち消す広報戦にも乗り出しました6856。
直近1週間の動向と国際社会の反応 (5月8日~5月13日)
5月7日の軍事衝突以降、両国間の緊張は依然として極めて高い水準にあります。パキスタン政府は「適切な時機に軍事報復を行う」と明言したまま、自制を保ちつつ反撃の機会を窺っています33。一方でインド政府も追加の攻撃は控え、国際社会に対しては「さらなるテロがあれば即座に打撃を加える用意がある」と強調しており67、事実上一触即発の睨み合い (スタンドオフ)となっています。幸いにも5月7日以降、インドによる新たな対地攻撃やパキスタン側からの大規模報復攻撃は報告されておらず、軍事衝突は一旦小康状態となりました。ただし両軍とも引き続き警戒態勢を維持しており、カシミールの停戦ライン付近では断続的な銃撃戦が続く可能性も指摘されています。
国際社会は引き続き両国に自制を求めています。国連安保理でも非公式に議論が行われ、グテーレス事務総長は「核保有国同士の武力紛争は世界的脅威であり、対話による解決が不可欠だ」と強調しました41。米国は両国に緊急のハイレベル対話を促すとともに、テロ対策について協力を提案したと報じられています (米国はインドのテロ掃討行動を支持しつつも、戦線拡大には慎重な姿勢)6970。中国は伝統的にパキスタン寄りの立場ですが、今回は双方に対話を求めつつ自国経済回廊の安全確保に神経を尖らせている状況です。
国内世論にも両国で温度差があります。インド国内では多数の市民が「長年我慢してきたが、インドが遂に報復した」と政府を支持する声がある一方71、開戦への不安も広がっています。パキスタン国内でも「戦争は望まないが主権を守るため反撃は当然」との世論が強く71、政府に対してインドへの断固たる対処を求めるデモが続いています23。もっとも、双方とも全面戦争は避けたい思惑があると見られ、特に経済危機に瀕するパキスタンは長期的な軍事衝突に耐えられない事情も抱えています40。
インドとパキスタンはこれまで三度の戦争 (1947年、1965年、1971年)と1999年の局地戦闘 (カールギル紛争)を経験し、その都度国際的な仲介で停戦してきた経緯があります。今回のカシミール襲撃事件以来の対立激化も、国際社会の働きかけ次第では徐々に沈静化に向かう可能性がありますが、現時点(5月13日)では予断を許さない状況です。実効支配線上の停戦合意は事実上破られたままで、両軍が再び報復の連鎖に入れば大規模戦争に発展するリスクも依然残っています65。カシミール問題は両国の核心的対立点であり続けており、両国政府の強硬姿勢が国内政治的にも後退しにくいことから、短期的には国交断絶状態と軍事的緊張が続く見通しです。国連や友好国による仲介を通じた緊張緩和策や、非公式な水面下交渉の可能性も模索されていますが、互いに譲歩の条件が整わない限り、今回の対立は長期化する恐れがあります。
本件に関する主要な出来事と双方の対応
日付 | 出来事・声明 | インドの対応 | パキスタンの対応 | 出典 |
---|---|---|---|---|
4月22日 | カシミール・パハルガム近郊で武装集団が観光客を襲撃。インド人観光客ら26人死亡72。 犯行声明を出した「カシミール・レジスタンス」は越境入植への報復と主張5。 |
モディ首相「犯人を大地の果てまで追跡し処罰する」と宣言11。 内相がスリナガル入りし治安会議を開催7374。 |
関与を全面否定。「事件はインド政府の自作自演」と非難8。 | 2 11 |
4月23日 | 印政府がパキスタンへの対抗措置を発表。 | ワガ国境検問所の即時閉鎖13。 インダス川水利条約の効力停止15 (パキスタンへの送水量制限)。 在印パキスタン高等弁務官事務所の武官追放通告75。 |
(※この段階で正式対応表明なし) | 13 15 |
4月24日 | 襲撃事件を受けた印の措置に対し、パキスタン国内で抗議拡大。NSC開催。 | パキスタン人渡航ビザの無効化・新規発給停止(一部在留者に48時間以内出国命令)17。 在印パ高弁務官事務所の定員を5/1以降30名に制限16。 |
シャリフ首相「インダス水流を止めればパキスタンは戦争と見なし全面報復」と警告22。 | 19 22 |
4月25日 | パキスタン政府が報復措置を公式発表27。 | (インド側追加措置) 4/27~パキスタン人ビザ無効化を拡大76。 |
空域閉鎖: パキスタン領空をインド航空機に閉鎖28。 貿易停止: インドとの全貿易を停止(第三国経由含む)30。 ワガ国境封鎖(越境移動停止)27。 在パ印高弁務官事務所武官追放(4/30期限)・定員30名に削減31。 インド人ビザ無効化(48時間以内退去通告)27。 |
28 27 |
4月30日~5月3日 | インドが追加制裁措置を通達77。 | インド領空をパキスタン機に閉鎖 (5/1~5/23)32。 パキスタン産品の輸入禁止78。 港湾利用禁止(双方の船舶に相手国寄港させず)79。 郵便・荷物サービス停止 (5/3から)80。 |
(パ側4/25発表の措置を継続実施) | 32 |
5月5日 | OIC(イスラム協力機構) ニューヨーク代表団が印バ情勢に懸念声明。 | OIC声明を「事実無視で政治的に偏向」として拒否43。外務省が「バハルガム襲撃の越境テロの事実を認めぬabsurd(不条理)な内容」と非難44。 | OICが「南アジアの治安悪化に深い懸念」を表明しカシミール問題への支持を再確認(パキスタンの働きかけ)。 | 43 |
5月7日 | 未明にインド軍がバキスタン領内をミサイル攻撃(シンドール作戦)46。カシミール実効支配線でも重火器戦に発展。 | パキスタン & PoK内のテロ施設9ヶ所を空爆54。 死者:テロ容疑者ら? (※非公表)。 インド外務省、高官に「パキスタンが応じれば更なる対応」と通告52。 (空爆は単発で停止) |
死者: パキスタン民間人31人 (パ政府発表)54。 負傷:46人。 戦闘機5機撃墜を主張63 (未確認)。 シャリフ首相「自ら選ぶ時と場所で報復する」と声明33。 印軍の「戦争行為」に対価支払わせると演説33。 |
41 |
5月8日~ | 国際社会が緊急に自制を要請、局地的戦闘は沈静化。 | 米・中・国連などが対話促進を呼びかけ41。 インド政府、高度警戒を維持しつつ「テロ再発なら更なる攻撃」と宣言67。 |
パキスタン政府、国家安全保障委員会や核管理当局を招集し対応協議。 「インドの不測の事態には常に備えている」と発表。 |
67 |
以上のように、4月22日の襲撃事件以降、インド・パキスタン両国は報復の応酬によって外交関係が急速に悪化し、軍事的衝突の危機にまで至りました。特に直近1週間ではインド軍の大規模な対テロ攻撃とそれに続く両国軍の交戦が発生し、核保有国同士の対立として世界的にも極めて危険な状況となっています。現在までに限定的な小康状態が保たれてはいるものの、カシミールを巡る緊張は予断を許さない段階であり、外交的解決策が見出だせない限り不安定な情勢が続くと見られます65。両国政府の今後の出方と国際社会の仲介努力に注目が集まっています。
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