ブラジル所得税の非課税枠はどうなる？Rendimentos isentos IR 2025

ブラジル所得税の非課税枠はどうなる？2025年以降の注目ポイント

最近、ブラジルで「Rendimentos isentos IR 2025」という言葉が注目されています。これは、日本語で言うと「2025年の所得税がかからない所得(2025年所得税免除対象所得)」といった意味です。なぜこの言葉が話題になっているのでしょうか？背景には、ブラジルの所得税ルールに関するいくつかの重要な変更や提案があるからです。この記事では、ブラジルの所得税非課税枠に関する最新情報と、今後の注目ポイントをまとめました。

そもそもブラジルの「非課税所得」って何？

ブラジルの所得税（IRPFと呼ばれます）のルールでは、全ての所得に税金がかかるわけではありません。法律で「これは税金をかけませんよ」と定められた特定の所得があり、これを「非課税所得（Rendimentos Isentos）」と呼びます。 ³

例えば、1988年に制定された法律第7.713/88号は、重い病気を抱えている方の年金などを非課税とする重要なルールを定めています。 ⁴ このように、ブラジルの非課税制度は、単に「収入が少ないから税金がかからない」というだけでなく、所得の種類や背景によって細かく決められているのが特徴です。

2025年以降、何が変わるの？所得税非課税枠の最新情報

ここからは、2025年以降の所得税に影響する主な変更点や提案を見ていきましょう。

新しい所得税のルールがスタート（2025年5月から）

2025年5月から、新しい所得税のルール（暫定措置令第1.294号）が始まっています。 ¹

• ポイント1：月収がブラジルの最低賃金の2ヶ月分（2025年の最低賃金R$1,518を基に計算すると、月収R$3,036、日本円で約9万円強 ※2025年6月時点の為替レートで概算）までの人は、所得税が免除されます。
• ポイント2：この変更は2025年5月から有効ですが、実際にこのルールで税金が計算されるのは、2025年1月1日から12月31日までの所得に対して、2026年に行う確定申告の時です。ちょっとややこしいですが、覚えておきましょう。

この変更は、ブラジル政府が最低賃金を引き上げ、低所得者層の生活を支援しようとする政策の一環です。

さらに非課税枠が拡大するかも？月収R$5,000（約15万円強）への引き上げ案

現在、ブラジルの国会では、所得税の非課税枠をさらに拡大して、月収R$5,000（約15万円強）まで引き上げる法案（法案第1087/25号）が話し合われています。もしこの法案が通れば、2026年から適用される予定です。 ²

• 影響は？：実現すれば、さらに約1,000万人のブラジル人が所得税を払わなくて済むようになり、合計で約2,000万人が非課税になると言われています。これは、所得税を申告する人の約65%にあたる大きな数字です。
• 目的は？：働く人々の負担を減らし、自由に使えるお金を増やして経済を活性化させること、そして長年変わらなかった税金の仕組みを見直すことが狙いです。
• お金はどうするの？：この変更で国の税収が減ってしまう分は、月収R$50,000（約150万円強）を超えるような高所得者層への課税を少し強化することで補う案が出ています。

この提案が実現するかどうかは、今後の国会での議論次第ですが、多くのブラジル国民が注目しています。

確定申告が必要になる基準も変わった

2025年に行う確定申告（2024年の所得が対象）から、申告が必要になる年収の基準額も少し引き上げられました。例えば、年間の課税所得がR$33,888（約100万円強）を超えると申告が必要です。また、海外の金融商品から所得を得た人に関するルールも新しくなっています。 ⁶

表1：所得税非課税枠（月額）の移り変わり

※MPは暫定措置令（大統領が発令する緊急性の高い法令）、PLは法案（議会で審議される法律案）のことです。

他にどんな所得が非課税になるの？主な例を紹介

所得税の非課税枠の金額だけでなく、特定の種類の所得も非課税の対象となります。主な例をいくつか見てみましょう。 ⁵

• 会社を辞めた時のお金：正当な理由なく解雇された場合の退職金や、FGTS（勤続期間保障基金という、日本の退職金制度に似たもの）から引き出されるお金の一部。
• 食事や交通費の補助：法律で定められた範囲内のもの。
• 重い病気を抱える方の年金：先ほど触れた法律第7.713/88号に基づき、エイズや癌、重度の心臓病などの特定の病気と診断された方が受け取る年金や退職金。ただし、現役で働いて得ている給与は対象外です。
• 預貯金の利子：普通預金口座（caderneta de poupança）の利子。
• 特定の投資からの収益：LCI（不動産担保貸付債権）やLCA（アグリビジネス関連貸付債権）といった金融商品からの個人の収益。
• 保険金、寄付、相続財産（相続税などは別途かかる場合があります）
• 奨学金（教育目的のもの）
• 養育費（受け取る側にとって）

表2：主な非課税所得の例

確定申告と税金の還付について（2025年申告のケース）

ブラジルでも日本と同じように確定申告の時期があり、払い過ぎた税金は還付されます。

確定申告の期限と手続きの変更点

2025年に行われた確定申告（2024年の所得が対象）の期限は、通常5月末でした。申告手続きも少し簡素化され、オンライン申告が中心になっています。期限に遅れると罰金があるので注意が必要です。

税金還付のスケジュールと優先順位

2025年の税金還付は、5月から9月にかけて5回に分けて行われました。還付を受ける順番には優先順位があり、例えば80歳以上の高齢者や障害を持つ方、主な収入源が教職である方などが優先されます。また、政府が推奨する事前入力済みの申告書を使ったり、PIX（ピックス：ブラジル中央銀行の即時決済システム）で還付金を受け取るようにしたりすると、優先順位が上がる仕組みになっています。

表3：2025年に行われた税金還付のスケジュール例

※上記は2024年分の所得に対する2025年の還付スケジュールです。将来のスケジュールは変更される可能性があります。

ブラジルの人々の関心と今後の注意点

ブラジルの人々は、新しい非課税枠によって実際にどれくらい手取りが増えるのか、そして提案されている月収R$5,000への非課税枠拡大が実現するのかどうか、といった点に大きな関心を寄せています。また、いつの所得にどのルールが適用されるのか、といった複雑な部分についての情報も求めているようです。 ⁷

ブラジルの所得税ルールは、現在進行中の変更と、これから議論される大きな提案が同時に存在しており、動きが活発です。そのため、ブラジルにお住まいの方や、ブラジルの税制に関わる可能性のある方は、以下の点に注意すると良いでしょう。

• 2025年の所得（2026年の申告）に適用される現在の非課税枠（月収R$3,036）をしっかり確認しましょう。
• 月収R$5,000への非課税枠拡大案は、まだ決定事項ではないことを理解しておきましょう。
• 自分に関係する可能性のある非課税所得の種類（特に重病時の年金など）について、条件などをよく確認しましょう。
• ブラジル連邦歳入庁（Receita Federal、日本の国税庁にあたる機関）からの公式発表には、常に注意を払うようにしましょう。
• もし複雑で分からないことがあれば、公式のQ&A資料を参照したり、税務の専門家に相談したりすることをおすすめします。

ブラジルの所得税非課税枠に関する動きは、国の経済政策や社会政策とも深く関わっています。今後も最新情報をチェックしていくことが大切です。

注：このレポートは、公開されている情報に基づいて作成されており、一般的な情報提供を目的としています。個別の税務アドバイスを提供するものではありません。具体的な税務処理については、必ず専門家にご相談ください。為替レートは説明のための概算であり、常に変動します。

引用情報（実際の情報源へのリンク例）:
1. 暫定措置令第1.294号に関する連邦歳入庁のニュース（例）
2. 法案第1087/25号に関する下院の議案情報（例）
3. 連邦歳入庁 IRPF よくある質問（例）
4. 法律第7.713/88号（大統領府法令データベース）
5. 連邦歳入庁 非課税所得に関する情報（例）
6. 連邦歳入庁 IRPF 最新情報（例）
7. 「Rendimentos isentos IR 2025 Brasil」に関するGoogleニュース検索（例）
8. ブラジル連邦歳入庁トップページ（情報収集の起点として）
9. ブラジル大統領府 法令検索ページ（情報収集の起点として）