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ビットコイン(BTC)主要ニュースまとめ【2025年6月7日から13日】

【ビットコイン週次レポート】地政学リスクとETF承認期待の綱引き (2025/6/7-13)

2025年6月第2週、ビットコイン(BTC)市場は相反する材料に揺れ動く一週間となりました。中東情勢の緊迫化が価格を押し下げる一方で、現物ETF承認への期待やインフレ鈍化が下支えする展開です。この記事では、この1週間に報じられたビットコイン関連の重要ニュースを、初心者にも分かりやすく解説します。

1. 中東緊迫でビットコイン一時急落、安全資産としての底堅さも示す

6月13日未明、イスラエル軍がイランの核施設などを攻撃したとの報道を受け、世界の金融市場はリスク回避の動きを強めました。ビットコインもこの影響を受け、価格は約3%下落し、一時10万2600ドル付近まで値を下げました。 1 2

この急落により、「デジタル黄金」としてのビットコインの安全資産(市場が不安定な時に価値が下がりにくいとされる資産)としての役割に疑問を投げかける声も一部で上がりました。しかし、その後ビットコイン価格は下げ幅を縮小し、約10万5200ドルまで持ち直しました。著名投資家からは、過去の地政学リスク発生時にもビットコインは初期の急落後に力強く反発した前例があると指摘する声も出ています。 4

2. アマゾン・ウォルマートが独自ステーブルコイン検討、決済網に変革の兆し

米ウォールストリート・ジャーナルの報道により、小売大手のアマゾンウォルマートが、独自のステーブルコイン(米ドルなどの法定通貨に価値が連動する暗号資産)の発行を検討していることが明らかになりました。 6 狙いは、自社の決済網を構築し、クレジットカード会社に支払う手数料を削減することにあると見られています。

この報道を受け、VisaやMastercardといったカード会社の株価は急落しました。 8 市場は、巨大小売企業が既存の銀行やカード決済網を不要にする「ディスラプション(破壊的変革)」の可能性を意識した形です。巨大企業の参入の兆しは、決済インフラとしての暗号資産の活用が現実味を帯びてきたことを示しています。

3. ビットコイン一時11万ドル目前、市場は慎重姿勢を崩さず

今週、ビットコイン価格は心理的な節目である11万ドルに再挑戦し、史上最高値(約11万3千ドル)まであと一歩に迫りました。 11 この上昇は、米証券取引委員会(SEC)の委員によるDeFi(分散型金融)に肯定的な発言がきっかけとなり、市場全体を押し上げたものです。

しかし、この上昇局面でも市場の過熱感は限定的でした。先物市場の資金調達率(ポジションの偏りを調整する手数料)がマイナス圏に留まるなど、多くの市場参加者は慎重な姿勢を崩していません。アナリストからは「真のブレイクアウト(価格帯の突破)とは言えず、急落の可能性もある」といった警戒の声も聞かれ、次の展開を慎重に見守る状況が続いています。

4. SECが現物ETF承認へ前進か、申請書の更新要求が憶測呼ぶ

米SECが、暗号資産のETF(上場投資信託)を申請している企業に対し、申請書類の更新を求めたとの報道が市場の話題をさらいました。特にソラナ(SOL)のETF申請者への修正要求が伝わると、SOLの価格は急騰しました。

業界では、SECによる細かい修正要求は「承認を前向きに検討しているサイン」と受け止められています。BloombergのETFアナリストは「早ければ7月にも承認される」「年内の承認確率は90%」といった強気な観測を示しました。米国初のビットコイン現物ETF承認が目前に迫っているとの見方が広がり、投資家心理を大きく改善させる要因となりました。

5. 米インフレ指標の鈍化が追い風に、ドル安でビットコイン下げ止まる

今週発表された米国のインフレ指標であるCPI(消費者物価指数)PPI(生産者物価指数)が相次いで市場予想を下回り、インフレの鈍化が鮮明になりました。 22 これにより、米FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和が早まるとの期待が高まり、ビットコインなどのリスク資産にとって追い風となりました。

指標発表後、米ドルが下落したことで、一時10万6600ドルまで下落していたビットコイン価格は下げ止まり反発しました。重要なサポートラインである10万6000ドル台を守り切ったことで、強気トレンドは維持されたとの見方が有力です。

6. USDC発行元Circle社が株式上場、ステーブルコイン事業への期待高まる

米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の発行元であるサークル社が、今週IPO(新規株式公開)を果たしました。上場後の株価は堅調に推移し、アマゾンやウォルマートのステーブルコイン検討のニュースも追い風となり、一時13%高まで急伸しました。 33

暗号資産関連企業が伝統的な株式市場で評価を受けたことは象徴的な出来事であり、ステーブルコイン業界全体の成熟と拡大を市場に印象づけました。

7. ドイツ銀行もステーブルコイン発行を検討、伝統金融のデジタル資産参入が加速

欧州最大手のドイツ銀行が、自社でのステーブルコイン発行や、業界団体への参加を検討していると報じられました。 34 決済の効率化を目的とした預金トークン(銀行預金を裏付けとするデジタル通貨)の開発も視野に入れているとのことです。

米国や欧州で規制整備が進む中、JPモルガンやシティといった世界の主要銀行も同様の動きを見せています。伝統的な金融機関が暗号資産技術を本格的に取り込み始めたという大きな流れは、ビットコイン市場に長期的なプラスの影響を与える可能性があります。

8. 強気相場の落とし穴、大口トレーダーが2億ドルの損失

6月中旬の市場急落の裏では、レバレッジ取引(証拠金を元手に行う高リスクな取引)を行っていた投資家のロスカット(強制的なポジション決済)が相次ぎました。6月12日の急落局面では、総額11億5千万ドルを超えるポジションが強制決済されました。 40

特に、ある匿名のトレーダーは、単一の取引で約2億ドル(約280億円)もの巨額な損失を被ったと報じられています。この出来事は、強気相場の中にも潜むリスク管理の重要性を、市場参加者に改めて認識させるものとなりました。

9. トランプ対マスクの確執にもビットコインは無風、政治リスクへの耐性示す

6月7日、トランプ米大統領(当時)がイーロン・マスク氏に対して警告を発したとの報道がありましたが、政界とテクノロジー界の大物同士の対立にもビットコイン市場はほとんど動じませんでした。 44

報道後も価格は安定して推移し、市場では「政治的な混乱に対するヘッジ(リスク回避)手段としてビットコインを捉える動きが増えている」との声も聞かれました。ビットコイン市場の成熟と、政治リスクからの独立性を示すエピソードとなりました。

10. LA移民デモ騒乱にもビットコインは堅調、地域リスクへの耐性示す

今週、米ロサンゼルスでは移民政策を巡る抗議デモが激化し、州兵が派遣される事態となりました。 48 しかし、このような米国内の騒乱リスクにもかかわらず、ビットコイン相場への影響は極めて限定的でした。

価格は狭い範囲での動きに留まり、むしろ高値を付ける場面も見られました。市場関係者からは「ロサンゼルスの混乱は地域限定的と捉えられ、グローバルな市場を動かすリスクとは見なされなかった」との分析が出ています。内政リスクの高まりにも安定して推移したことは、分散投資先としてのビットコインの信頼感を改めて印象づけました。


参考文献:引用文献

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