イーサリアム

イーサリアム(ETH)主要ニュースまとめ【2025年6月7日から13日】

【イーサリアム週次レポート】SECの追い風と地政学リスクの綱引き (2025/6/7-13)

2025年6月第2週、イーサリアム(ETH)市場は大きな変動を経験しました。米国証券取引委員会(SEC)による規制明確化という強力な追い風が吹く一方で、中東の地政学リスクが影を落とすなど、強弱入り混じる展開となりました。この記事では、この1週間に報じられたイーサリアム関連の重要ニュースを、初心者にも分かりやすく解説します。

1. SECがステーキングを「証券ではない」と明確化、ETFへの資金流入が加速

米国証券取引委員会(SEC)は5月末、イーサリアムのステーキング(ネットワークに貢献して報酬を得る仕組み)が「証券取引には該当しない」との画期的な見解を示しました。 1 これにより、これまで懸念されていた規制上の不透明感が解消され、機関投資家にとって大きな安心材料となりました。

この追い風を受け、イーサリアムの現物ETF(上場投資信託)への資金流入が続いています。6月10日時点で、世界最大の資産運用会社ブラックロックが運用するETFには累計49.7億ドルもの資金が流入しました。市場では「イーサリアムに新たな強気局面が訪れつつある」との見方が広がっています。

2. マクロ経済の好転でETHが15週ぶり高値に急騰

6月11日、米国の5月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことや、米中貿易協議の進展報道を受け、市場全体でリスクを取る動きが強まりました。 5

この流れに乗り、イーサリアム価格も5%以上急騰し、約2,873ドルに到達。週間では12%近く上昇し、約3か月ぶりの高値圏を記録しました。 6 この背景には、機関投資家による買いや、ステーキングされているETHの量が過去最多に達したことによる需給の引き締まり観測も影響しています。これにより、重要な価格の節目であった2,800ドルの抵抗線を突破し、3,000ドルの大台回復への期待が高まりました。

3. 中東リスクで急反落、ETHは7%以上の下落

週前半の上昇ムードは、地政学リスクによって一変しました。6月13日、イスラエルによるイランへの軍事攻撃が報じられると、投資家はリスク回避の動きを強め、暗号資産などのリスク資産から資金を引き揚げました。その結果、イーサリアム価格は24時間で7%以上も下落し、一時2,480ドル付近まで値を下げました。 10

この急落は、安全資産とされる米ドルや金への資金逃避に伴うもので、暗号資産市場全体が地政学リスクの波に飲まれた形です。価格はいったん下げ止まったものの、今後の戦況次第で再び相場が揺さぶられる可能性が残っています。

4. 「イーサリアム版マイクロストラテジー」登場?SharpLink社の巨額購入と株価の乱高下

米ナスダックに上場するオンラインギャンブル企業SharpLink Gamingが、大胆な戦略で市場の注目を集めました。同社は、約4億2,500万ドル(約600億円)を投じて約17.6万ETHを購入し、企業の準備資産として大量に保有することを発表したのです。 14 15

この動きは、ビットコインを大量保有するマイクロストラテジー社になぞらえられ、発表直後に同社の株価は一時400%以上も暴騰しました。しかし、その後の追加増資に関する提出書類が市場に誤解を与え、株価は70%も急落。イーサリアム共同創設者でもある同社会長が火消しに追われる事態となりました。 16 この一件は、企業のETH財務戦略への評価が市場で定まっていないことを示しています。

5. 機関投資家の強気姿勢が鮮明に、取引所から巨額ETHが流出

市場データからは、機関投資家がイーサリアムを積極的に買い集めている様子がうかがえます。6月11日には、暗号資産取引所から1日で14万ETH(約3億9,300万ドル相当)が流出しました。これは過去1か月で最大の流出量です。 22

投資家が取引所から資産を引き出す動きは、長期保有を目的としていることを示唆し、売り圧力の低下につながります。同時期に、ETH関連のETFへの資金流入額がビットコインETFを上回るなど、プロの投資家によるETHへの強気な姿勢が鮮明になっています。

6. フランス大手銀ソシエテ・ジェネラル、イーサリアム基盤のドル連動ステーブルコイン発行へ

伝統的な金融機関による暗号資産分野への参入も進んでいます。フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルが、米ドルに連動するステーブルコイン「CoinVertible」をイーサリアムのブロックチェーン上で発行する計画を明らかにしました。 27

大手銀行が自らドル建てのステーブルコインを発行するのは世界で初めてのケースです。この動きは、銀行が提供する高い信頼性を武器に、既存のステーブルコイン市場に参入する狙いがあります。伝統金融大手の参入は、イーサリアムがグローバルな金融インフラとして認知されつつある象徴と言えるでしょう。

7. 米国と韓国でステーブルコイン規制が前進

ステーブルコインに関する法整備も各国で具体化しています。米国では、発行者に厳格な準備資産の保有や監査を義務付ける超党派の規制法案が上院で審議入りしました。 33 一方、韓国でも、発行者のライセンス制導入などを盛り込んだ規制案が発表されました。

こうした法整備の動きは、イーサリアム上で流通するドル連動資産の信頼性を高め、機関投資家のさらなる参入を促す可能性があります。イーサリアム経済圏全体の安定性と正当性を高めるものとして、市場では歓迎ムードが広がっています。

8. 強気予測が相次ぐ、年末の過去最高値更新の観測も

市場の強気マインドは、デリバティブ市場やアナリストの予測にも表れています。6月6日には、ある大口トレーダーが約200万ドルを投じ、6月末までにETH価格が3,200ドルを超えることに賭ける大規模なオプション取引を行いました。 38

また、複数のアナリストが強気予測を打ち出しており、主要取引所BTSEのCOOは「今年末までにETHが過去最高値を更新する可能性は十分にある」と指摘しています。 43

9. ネットワーク指標は好調、アドレス数やDeFi支配率は健在

価格面だけでなく、イーサリアムネットワークの利用状況も好調です。利用されたアドレスの累計数は過去最高の1,740万に達し、第2四半期だけで70%も増加しました。この背景には、レイヤー2(L2)と呼ばれる処理能力向上技術の普及があります。

また、DeFi(分散型金融)市場においても、預け入れられている総資産額の61%がイーサリアム上にあり、その優位性は揺らいでいません。現実資産のトークン化(RWA)分野でも主要なプラットフォームとして選ばれており、イーサリアムの強力なファンダメンタルズ(基礎的条件)が示されています。

10. 強気一色ではない市場心理と潜むリスク

市場全体が上昇ムードに包まれる一方で、リスクを指摘する冷静な声もあります。ETHの先物市場では未決済建玉(OI)が過去最高水準に達しており、これは市場に高いレバレッジ(借入による投資)がかかっていることを意味します。このような状況では、少しの価格変動で大規模な強制決済が連鎖し、価格が乱高下するリスクがあります。

加えて、依然として不安定なマクロ経済の動向や地政学リスクも懸念材料です。実際に13日の市場急落時には、暗号資産市場全体で約11.4億ドルもの強制ロスカットが発生しました。 51 市場は、楽観と悲観が綱引きする状況で推移しています。


参考文献:引用文献

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