中東

イスラエル・イラン軍事衝突:最新状況 まとめ【2025年6月15日】

イスラエル・イラン軍事衝突:最新状況総括

2025年6月、イスラエルとイランの間で発生した軍事衝突は、中東地域の安全保障環境を一変させる深刻な危機となっています。イスラエル軍によるイラン本土への大規模な空爆と、それに対するイランのミサイル報復攻撃が相次ぎ、両国の市民に多数の犠牲者が生じています。停戦に向けた外交交渉が難航する中、国際社会は紛争拡大への懸念を強めています。本稿では、この危機に関する最新情報を包括的に整理します【2025年6月15日正午時点】。

現在の軍事的状況

イスラエルの先制攻撃とイランの報復

イスラエル軍は6月13日未明、ナタンズやフォルドゥなどイラン国内の主要な核関連施設や弾道ミサイル拠点、イスラム革命防衛隊(IRGC)の司令部を対象に、大規模な先制空爆を敢行しました。 1 この奇襲攻撃は過去最大規模となり、イラン軍の最高幹部や核科学者を含む多数が殺害されたと報じられています。 2 イスラエル側はこの攻撃で、イランの核開発能力を「数年は後退させた」と評価しています。 3

これに対しイランも直ちに報復に転じ、弾道ミサイルと無人機(ドローン)による大規模な攻撃をイスラエル領内に実施しました。 4

戦闘の推移と両軍の状況

以降、衝突はエスカレーションを続け、イスラエル軍はテヘラン首都圏を含むイラン各地への空爆を拡大。48時間で150ヶ所以上を攻撃したと発表しています。³ 標的には、世界最大級の南パース・ガス田など重要インフラも含まれ、実際に火災が発生し生産が一部停止しました。³ 5

一方のイランも、新型の弾道ミサイルやドローンによる第二波攻撃を開始し、イスラエル北部の港湾都市ハイファや商都テルアビブを狙って多数のミサイルを発射しています。⁵ 14日夜にはエルサレムやハイファで空襲警報が鳴り響き、約100万人がシェルターへ避難する事態となりました。 6

軍事的にはイスラエル軍が優勢を維持しており、数百機の戦闘機がイラン上空で航空優勢を確立していると述べています。 7 イスラエルのネタニヤフ首相は「今後さらに攻撃を強化する」と警告。³ これに対しイラン革命防衛隊は「イスラエルが敵対行為を続けるなら、更に激しい攻撃を行う」と表明しています。⁶ 現時点では、レバノンのヒズボラなどイランの同盟勢力による直接参戦は限定的ですが、予断を許さない状況が続いています。³

停戦交渉・仲介の進展

停戦に向けた外交努力も行われましたが、現時点で大きな進展はありません。攻撃が開始される前、米国とイランはオマーンで核問題を巡る協議を行う予定でした。しかし、イスラエルの攻撃を受け、6月15日に予定されていた会合はイラン側が一方的に中止しました。³

イランは「イスラエルの蛮行が続く中での協議は正当化できない」と表明。仲介役のオマーン政府も「外交と対話こそが唯一の道だ」として、対話再開の必要性を訴えています。⁷

国連安全保障理事会は緊急会合を開きましたが、イスラエルとイランが互いを非難する応酬に終始しました。¹ ロシアや中国はイスラエル非難と即時停戦を求めましたが、米国は明確な停戦要求を避けるなど、理事国の意見は分裂。安保理として統一した行動は取れていません。¹ トルコのエルドアン大統領がサウジアラビアやイランの首脳と電話会談を行うなど、各国の独自外交もみられますが、正式な停戦協議の目途は立っていません。⁵

両国の軍事的・政治的対応

イスラエル側の対応

イスラエル政府と軍は、本格的な戦争体制に移行しています。国防軍(IDF)は全土に特別緊急事態を宣言し、ミサイル防衛システム「アイアンドーム」を全面稼働させました。空軍は数百機の戦闘機を動員し、イラン各地への空爆を継続しています。⁷

イスラエルはイランの核開発インフラに打撃を与えたと主張しており、国際原子力機関(IAEA)もナタンズの核濃縮施設が損壊したことを確認しています。¹ 攻撃対象は軍事施設に留まらず、南パース・ガス田などイラン経済の急所であるエネルギー施設にも拡大しています。⁵

政治的には、ネタニヤフ首相が「我々はアヤトラ政権のあらゆる標的を叩く」と強硬姿勢を崩していません。³ 国防相も「ハーメネイ師がミサイル攻撃を続けるならテヘランを火の海にする」と警告し、イラン国民に現体制の打倒を呼びかけました。³ イスラエル国内では、一部の人権団体から政府批判の声も上がっていますが、野党も目立った反戦行動は控えています。³

イラン側の対応

イランも国家総力戦の構えです。革命防衛隊と正規軍は全土に非常警戒態勢を敷きました。イスラエルの初撃で防空網は大きな打撃を受けましたが、残存するミサイルで応戦しています。⁵

イラン軍は報復攻勢として、保有する弾道ミサイルでイスラエル各地に連日攻撃を行っています。ハイファのガス貯蔵施設に被害を与えたとの報道もあります。⁵ さらに、ペルシャ湾のホルムズ海峡封鎖の可能性を示唆し、第三国の介入を牽制しています。³

政治面では、ハーメネイ最高指導者と政権高官が一体となり、国際社会にイスラエルの攻撃を「野蛮な犯罪行為」だと非難。³ イランの国連大使は、米国がイスラエルの攻撃を支援した「共犯者」であると主張しました。¹ これに対し米国は、軍事的な関与は否定しつつ、イランに交渉復帰を促しています。¹ イラン国内では国営メディアが反イスラエルのプロパガンダを流し、国民の結束を訴えています。³

民間人への被害状況と人道的影響

軍事衝突の激化に伴い、双方の民間人に深刻な被害が出ています。

イラン側では、イスラエル軍の空爆で住宅地も被害を受けています。イラン当局によると、開戦から2日間で死者は累計で百数十人、負傷者は320人以上に上ります。³ テヘラン市内の高層アパートがミサイルの直撃で倒壊し、子供29人を含む多数の住民が犠牲となりました。³

一方、イスラエル側でもイランのミサイル攻撃により、少なくとも9人が死亡、300人以上が負傷しました。⁶ テルアビブ近郊では住宅にミサイルが命中し、生後3ヶ月の乳児を含む家族が犠牲になる悲劇も起きています。⁷

この紛争は人道状況にも深刻な影響を及ぼしています。両国で空港が閉鎖され、学校や商業施設も休業するなど、市民生活は大きな混乱に陥っています。⁷ 紛争が長期化すれば、新たな難民危機が発生する可能性も指摘されています。⁵

国際社会の反応

この軍事衝突に対し、国際社会から様々な反応が寄せられています。

  • 米国: トランプ大統領はイスラエルの攻撃を「素晴らしい」と称賛しつつも、地域戦争への拡大は望まないと述べています。⁷ 米国はイスラエルを支持する一方、外交的解決の道も探る姿勢です。¹
  • ロシア: プーチン大統領はイスラエルの攻撃を「地域の安定を損なう危険な行動だ」と強く非難し、即時停戦を要求しています。³
  • 中国: イスラエルの攻撃を「主権侵害だ」と批判し、軍事行動の即時停止を求めています。¹
  • 欧州連合(EU)・主要欧州諸国: イギリス、フランス、ドイツなどは、戦闘の即時沈静化と最大限の自制を双方に求めています。ただし、イスラエルへの明確な軍事支援には慎重な姿勢を見せています。 8 9
  • 中東諸国: エジプトやヨルダンなどが停戦仲介を試みる一方、サウジアラビアなど湾岸諸国は、公式には憂慮を表明しつつも、イランの影響力低下を歓迎する複雑な立場にあると報じられています。トルコはイスラエルを強く非難しています。⁵
  • 日本政府: 双方に自制を強く求め、在留邦人の安全確保に努めています。¹

経済・エネルギー・空路などへの影響

エネルギー市場への影響

戦闘勃発の報を受け、国際原油価格は急騰しました。³ イスラエルがイランのガス田や製油所を攻撃対象に含めたことで、中東からのエネルギー供給不安が現実のものとなっています。さらにイランがホルムズ海峡の封鎖を示唆したことで、地政学リスクは一層高まっています。³

地域経済・金融への影響

紛争は両国の経済活動を停滞させています。イスラエルでは戦時経済が長期化する見通しで、イランではインフラ被害による物資不足や物価高騰が懸念されています。⁵ 世界の金融市場でも、安全資産とされる金の価格が上昇するなど、投資家のリスク回避姿勢が強まっています。

航空路・物流への影響

戦闘により中東上空の航空ルートは大きな混乱に見舞われています。イラン、イスラエル、イラクの空路が閉鎖され、ヨーロッパとアジアを結ぶ多くの定期便が迂回を余儀なくされています。 10 イスラエルの国際空港も一時閉鎖され、多くの海外航空会社が運航を見合わせています。⁷

以上、2025年6月時点におけるイスラエルとイランの軍事衝突の状況を報告しました。戦闘はなお収束の兆しを見せず、国際社会による一層の働きかけと、当事国の自制が強く求められています。

2025年6月15日時点でのまとめ

6月13日にイスラエルがイラン国内の核施設や軍事拠点を狙った大規模な空爆作戦「Operation Rising Lion」を開始したことで、両国間の軍事衝突が激化しています。イスラエルは、この攻撃を「国家存続のための自衛措置」と主張し、イラン軍幹部や核科学者多数が犠牲になりました。イランも直ちに弾道ミサイルや無人機を用いた報復攻撃を行い、イスラエルのテルアビブやハイファなど主要都市が攻撃され、市民にも多数の死傷者が出ています。

国際社会は緊急の対応を迫られていますが、アメリカがイスラエルを支持する一方で、ロシアや中国はイスラエルを非難し、国連安全保障理事会の対応は分裂しています。また、欧州や中東諸国も即時停戦を求めていますが、具体的な調停や停戦交渉は難航しています。イラン政府は、米国の関与を疑い、核問題に関する米国との交渉を一時中断しました。

民間人被害も深刻で、イランでは住宅への攻撃で子どもを含む多数が死亡し、イスラエルでもミサイル攻撃により多くの死傷者が出ており、人道的危機が深まっています。さらに軍事衝突は経済やエネルギー市場にも影響を与え、原油価格が急騰、航空路も乱れるなど、地域だけでなく世界経済にも影響が出始めています。

現時点では両国ともに攻撃を続ける構えで、戦闘収束の見通しは立っておらず、地域全体の不安定化と国際社会への影響が懸念されています。


参考文献:引用文献

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