最近海外のSNSを中心に「#MIGA(Make Iran Great Again)」というタグが拡散しています。このタグは「イランを再び偉大な国にしよう」という意味で、米国のトランプ元大統領が使った「MAGA(Make America Great Again)」をもじったものです。
「#MIGA」タグ誕生のきっかけ
2025年6月、イランとイスラエルの間で大規模な軍事衝突が起こりました。イスラエルがイラン国内の核関連施設を攻撃し、イランも報復攻撃を行うなど、緊張がピークに達した時期です。この衝突に米国も軍事介入を行い、イランの主要核施設を空爆しました。
この空爆作戦直後の6月22日、トランプ元大統領が自身のSNSで「もし現政権がイランを再び偉大にできないのなら、なぜ体制転換が起きないのだろうか? Make Iran Great Again! (MIGA!)」というメッセージを投稿したことがきっかけとなりました。
「#MIGA」が広まった理由
トランプ氏の発言は、イラン国内外の反体制派や民主化運動を支持する人々に強く響きました。イランでは1979年のイスラム革命以降、長期間にわたり経済的苦境や自由の制限が続いています。そのため、「再び偉大なイラン」を掲げるこのメッセージが、政権交代を求める人々の共感を呼び、SNS上で急速に拡散されました。
特に注目されたのが、イランの元皇太子レザ・パフラヴィー氏の存在です。パフラヴィー氏は革命前のイラン王朝の後継者で、国外で民主化運動を続けている人物です。彼がこのタグを積極的に支持したことで、海外の王党派や世俗派を中心に、さらに拡散が加速しました。
「#MIGA」を巡るイラン国内の状況
イラン政府はこのタグの拡散を「外国による陰謀」として警戒し、国内での報道規制やネットの遮断などを行っています。しかし、海外に逃れたイラン人を中心に反体制派はSNSで活発に発信を続けており、イラン国内の若い世代にも少なからず影響を与えています。
一方で、イラン国内には、外国勢力による政権転覆を嫌う意見もあり、愛国心から逆に体制を支持する動きも見られます。そのため、「#MIGA」が全面的に国内で支持されているとは言えない複雑な状況にあります。
国際社会の反応
国際社会も複雑な対応を迫られています。欧州や中東諸国は、イラン国内の混乱が広がることを懸念して慎重な姿勢をとっています。トランプ氏自身も後に発言を和らげ、「体制転換に伴う混乱は望まない」とコメントしていますが、一度発信されたメッセージの影響は簡単に消えるものではありません。
今後の展望
「#MIGA」は今や単なるタグを超えて、イランの民主化や体制変革を求める象徴的なフレーズとなっています。反体制派の動きは今後も継続される見込みで、イラン国内の情勢は流動的です。
このタグが本当にイランを再び「偉大な国」に導くことができるのか、それとも混乱を深めるだけなのか、世界が注視しています。
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