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中国 主要ニュース【2025年6月14日】

2024年6月 中国関連ニュース解説:G7との対立から国内経済・気候問題まで

2024年6月中旬、中国を巡る情勢は国際関係、経済、環境問題など多岐にわたる分野で大きな動きを見せました。主要7カ国(G7)との緊張の高まりから、国内で深刻化する経済や気候の問題、そして独自の外交展開まで、最新の主要ニュースを分かりやすく解説します。

1. G7首脳会議、対中国で結束を表明

6月14日にイタリアで閉幕した主要7カ国(G7)首脳会議では、中国に対する懸念が主要な議題の一つとなりました。G7首脳は共同声明で、中国の不公正な貿易慣行に対処する姿勢を明確にしました。 1

声明では、自国の企業や労働者を守るため、必要に応じて適切な行動を取るとしています。¹ また、ロシアの戦争遂行を支援しているとして、武器の調達に関与する中国の金融機関への追加措置も警告しました。¹ G7各国は「中国の経済発展を妨げる意図はない」としつつも、公平な競争環境を求めており、西側諸国と中国の間の経済・安全保障上の緊張が改めて浮き彫りになりました。

2. 米高官、台湾海峡での偶発的衝突リスクに警鐘

米国の駐台湾トップ、サンドラ・ウドカーク女史(米国在台協会台北事務所長)は6月14日の記者会見で、台湾周辺での偶発的な衝突リスクについて警告しました。 2

ウドカーク氏は、中国が台湾海峡や南シナ海などで軍事的な威嚇行動を続ければ、「誤算や事故によって、より広範な紛争に発展しかねない」と述べました。² 米国は台湾海峡の平和と安定を維持する立場を強調し、中国に対し「挑発的な行動を避けるよう一貫して促している」としています。この発言は、米中関係の最大の火種である台湾問題を巡り、地域の安全保障リスクが高まっていることへの米国の強い懸念を示しています。

3. 中国、ウクライナ和平会議を欠席し独自の停戦案を主張

中国は、スイスで開催されるウクライナ和平サミットへの不参加を決定しました。その一方で6月14日、国連安全保障理事会の場で、ロシアとウクライナ双方に「できるだけ早く」停戦交渉を開始するよう求めました。 3

中国の耿爽(こうそう)国連次席大使は、「武器では恒久的な平和はもたらされない」と述べています。³ 中国は昨年、独自の12項目からなる和平案を提唱しており、西側諸国が支持するウクライナの和平案とは一線を画しています。この動きは、中国が紛争解決において影響力を行使しようとする一方、欧米主導の枠組みとは距離を置く姿勢の表れとみられています。

4. 中国の新規融資額が予想を下回り、景気回復に懸念

6月14日、中国人民銀行(中央銀行)が発表した5月の新規人民元建て融資額は9,500億元となり、市場予想の約1兆2,550億元を大幅に下回りました。 4

融資の低迷は、中国経済の回復の勢いが弱いことを示唆しています。⁴ 不動産不況や国内需要の低迷が続いていることが背景にあり、世界第2位の経済大国の先行き不透明感が高まっています。中国当局は景気下支えのための追加措置を模索していますが、米国の利上げに伴う元安圧力もあり、大胆な金融緩和には慎重な姿勢を見せています。

5. 中国北部で深刻な干ばつ発生、3億人に影響か

中国北部を中心に記録的な高温と少雨が続き、河南省や山東省などで深刻な水不足が発生しています。 5 これを受け、国家気象局は6月12日に干ばつ対策の非常対応レベル4を発令し、農作物への被害を警告しました。

この干ばつは農作物の生育に悪影響を及ぼし、食料生産への打撃が懸念されています。中国政府は対策用の特別資金を投入したり、人工降雨の準備を進めたりするなど対策を強化しています。 6 農業大国である中国の穀物収穫への影響は、世界の食料市場にも波及する可能性があります。

6. EUのEV関税に対し、中国は豚肉で報復を検討か

欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に対し、最大38.1%の追加関税を課す方針を示しました。これに対し、中国側は報復措置として、EU産の豚肉に対する反ダンピング調査(不当に安い価格での販売がないかどうかの調査)を検討しています。 7

国営メディア「環球時報」によると、中国企業がこの調査を正式に申請したとのことです。⁷ EUにとって中国は年間60億ドル規模の豚肉輸出市場であり、この動きは大きな圧力となります。⁷ この事態は、中欧間の貿易摩擦が自動車産業から農産品へと波及する兆候であり、双方の経済関係にさらなる緊張が走っています。

7. ドイツ政府、EV関税問題で中国に「歩み寄り」を要求

6月14日、ドイツ政府の報道官は、EUが検討中の中国製EVへの関税問題について、対立の激化を避けるため「中国側の真剣な歩み寄りが必要だ」と述べ、外交的な解決策を模索する考えを示しました。 8

欧州最大の経済大国であるドイツは、中国との貿易戦争を望んでいません。特に、中国市場に大きく依存するドイツの自動車産業は、関税報復による打撃を強く懸念しています。⁸ 今後、ドイツの経済大臣も訪中し、公正な競争環境の必要性を訴える見通しです。

8. 米国業界団体、対中追加関税の発動に猶予を要請

バイデン政権が8月1日から予定している中国製品への追加関税引き上げに対し、米国の173の業界団体が猶予を求める書簡を提出しました。 9

書簡では、意見公募期間を1ヶ月延長し、公聴会を開催するよう求めています。⁹ 対象となるのはEV、電池、太陽光製品など387品目で、関税が最大で4倍に引き上げられる製品も含まれます。⁹ 幅広い業界団体が影響を懸念しており、米国の対中強硬策に対する産業界の慎重な姿勢が浮き彫りになりました。

9. 南シナ海で緊張高まる、中国が新規則を施行

中国海警局は6月15日から、南シナ海の係争海域などで「不法侵入」したと見なした外国人を、最長60日間拘留できる新たな規定を施行しました。 10

これに対し、フィリピンのマルコス大統領は「深刻な懸念」を表明。施行前日の14日には、マニラの中国領事館前で抗議デモが行われました。 11 フィリピン側は自国の排他的経済水域(EEZ)での漁業を継続すると強調しており、この新規則は地域の緊張を一層高める恐れがあります。

10. 中国首相がニュージーランド訪問、経済協力の強化を図る

中国の李強(りきょう)首相は6月14日、訪問先のニュージーランドで経済協力の拡大に意欲を示しました。 12 李首相は「中国ではニュージーランド産の高品質な乳製品や肉類への需要が高まっている」と述べています。¹²

今回の訪問は中国首相として7年ぶりとなり、貿易や気候変動に関する協定にも調印しました。¹² 李首相はオーストラリアも訪問しており、太平洋地域との関係強化を図っています。中国は両国にとって最大の貿易相手国であり、西側諸国とも経済的な結びつきを維持しようとする多角的な外交戦略がうかがえます。

11. 中国、アフリカ諸国に首脳会議への招待状を送付

中国政府は、アフリカ各国の首脳に対し、習近平国家主席名義の招待状を届けました。これは、2024年9月に北京で開催予定の「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」首脳会議へ招待するためのものです。 13

FOCACは、中国とアフリカ54カ国の協力枠組みです。中国はインフラ投資や開発支援を通じてアフリカ大陸との関係を強化しており、この招待状の送付は、中国がアフリカとの戦略的関係をいかに重視しているかを示すものです。¹³


参考文献:引用文献

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