アメリカ合衆国

アメリカ 主要ニュース【2025年6月14日】

2024年6月14日 米国主要ニュース解説:トランプ氏有罪評決から経済・外交の最新動向まで

2024年6月14日、アメリカ合衆国では政治、経済、社会の各分野で重要な出来事が報じられました。ドナルド・トランプ前大統領に対する歴史的な有罪評決から、連邦最高裁判所の重要判断、緊迫する国際情勢まで、今後の米国と世界の動向を占う上で見逃せないニュースを分かりやすく解説します。

1. トランプ前大統領に有罪評決、史上初の事態

ドナルド・トランプ前大統領が、ニューヨーク州の刑事裁判で34件すべての罪状で有罪評決を受けました。 1 この裁判は、2016年の大統領選挙前に自身の不倫関係を隠蔽するため、口止め料を支払った際の企業記録偽造が問われたものです。

米国の歴史上、元大統領が刑事犯罪で有罪となるのは初めてのことです。裁判所は量刑言い渡しの日程を7月11日に設定しました。トランプ氏は無罪を一貫して主張しており、控訴する構えを見せています。この歴史的な評決は、今年秋に迫る大統領選挙の行方や、米国の政治情勢に大きな影響を与えることは確実です。

2. 連邦最高裁、銃の連射装置「バンプストック」の規制を無効化

6月14日、連邦最高裁判所は、半自動小銃を機関銃のように連射可能にする装置「バンプストック」の連邦規制を違法とする判断を下しました。 2 これにより、2018年から施行されていた事実上の販売・所持禁止措置は無効となります。

この判決は、保守派6名、リベラル派3名の票決によるものです。多数意見を執筆したクラレンス・トーマス判事は、「連邦法が定義する自動小銃(マシンガン)に、バンプストックを装着した銃は該当しない」との見解を示しました。

一方、ソニア・ソトマイヨール判事らリベラル派3名は反対意見を表明。この決定が銃乱射事件を助長し、「致命的な結果」を招きかねないと警鐘を鳴らしています。2017年のラスベガス乱射事件では、犯人がバンプストックを使用し多数の死傷者を出した経緯があり、今回の判断は全米の銃規制を巡る議論に大きな波紋を広げています。

3. 連邦最高裁、経口妊娠中絶薬へのアクセスを維持

連邦最高裁は6月13日、経口妊娠中絶薬「ミフェプリストン」へのアクセスを維持する判断を全会一致で下しました。 3 これは、下級審が出したこの薬への規制を強化する決定を差し止めるものです。これにより、当面の間はミフェプリストンを従来通り入手できることになります。

ただし、今回の判断は手続き上の理由に基づくものでした。 4 薬の安全性や、米食品医薬品局(FDA)の承認権限に関する本質的な判断は避けられています。³ 権利擁護団体は安堵しつつも、将来的に再び法的な挑戦が行われる可能性が残っているとして、警戒を続けています。³

4. 最高裁、スターバックスの労組活動家解雇を支持

最高裁は6月14日、大手コーヒーチェーンのスターバックスが労働組合の組織化に関わった従業員を解雇した問題について、8対1で企業側の主張を支持する判決を下しました。³

この裁判は、テネシー州メンフィスの店舗で組合結成を主導した7人の従業員が解雇されたことを巡るものです。不当労働行為であるとの訴えが起きていましたが、最高裁は会社の解雇措置を違法とは言えないと判断しました。リベラル派のケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事のみが一部反対意見を述べました。労働組合側はこの判決に強く反発しており、近年の大企業における組合結成の動きに冷や水を浴びせる結果となりました。

5. 下院共和党、ガーランド司法長官を議会侮辱罪で告発

野党・共和党が多数派を占める連邦下院は6月12日、メリック・ガーランド司法長官を「議会侮辱罪」で告発する決議案を賛成216、反対207で可決しました。 5

これは、バイデン大統領の機密文書取り扱い疑惑に関する調査で、司法省が議会の召喚に応じず、大統領のインタビュー録音の提出を拒んだことに対する措置です。ガーランド長官は、大統領特権を理由に提出を拒否しています。司法長官に対する議会侮辱決議は歴代3人目となりますが、この決議に法的な拘束力はありません。バイデン政権下の司法省が自ら長官を起訴する可能性は低く、実質的な影響は限定的とみられています。

6. ミネソタ州の元女性議長夫妻が射殺される、政治的動機か

6月10日前後、ミネソタ州で民主党の元州下院議長メリッサ・ホートマン氏とその夫が自宅で射殺されるという衝撃的な事件が発生しました。 6 また、別の男性州議員夫妻も負傷しています。

犯人は警察官を装って各家庭を訪れ、発砲したとみられています。ティム・ウォルズ州知事は「標的にされた政治的暴力だ」と強く非難しました。⁶ 容疑者の男は事件後に拘束されており、当局が動機などの詳細を捜査中です。この悲劇は、米国で深刻化する政治的対立と暴力への懸念を改めて浮き彫りにしました。

7. 米国株式市場が好調、インフレ鈍化で利下げ期待高まる

ハイテク株中心のNASDAQ総合指数が、6月14日まで5日連続で史上最高値を更新するなど、株式市場が活況を呈しています。 7

特に、AI(人工知能)関連の需要を追い風に、ソフトウェア大手Adobe社の株価が好調な業績見通しを受けて14.5%も急伸し、市場を牽引しました。⁷ 背景には、5月の消費者物価指数などでインフレの鈍化が確認されたことがあります。これを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内の利下げ回数予測を下方修正したものの、金融緩和への期待感が市場に広がっています。⁷

8. G7がウクライナ支援で結束、米国との安全保障協定も締結

500億ドルの追加支援と凍結ロシア資産の活用

イタリアで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ウクライナへの新たな支援策が合意されました。総額500億ドル(約7兆円)の経済支援パッケージで、財源には各国が凍結したロシア資産の活用が含まれます。³

米ウクライナ間の10年間の安全保障協定

サミットにはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も参加しました。ジョー・バイデン米大統領との間で、今後10年間にわたる二国間の安全保障協定に署名しました。³ バイデン大統領は、武器供与や情報共有などを継続すると表明する一方、米軍のウクライナ派兵は行わないと改めて明言しました。³ G7の結束した支援表明は、長期化する戦争に苦しむウクライナにとって重要な後押しとなります。

9. ガザ情勢は悪化の一途、米国の停戦仲介努力続く

イスラエルとハマスの武力衝突が始まって9ヶ月が経過したガザ地区では、人道危機が深刻化しています。国連機関によると、ガザでは飢餓や栄養失調により子供を中心に32人が死亡しました。³ また、約3,000人の幼児が治療を受けられず、命の危機に瀕していると報告されています。³

イスラエル軍は南部ラファへの地上侵攻を続けており、各地で空爆による民間人の死傷者が報告されています。³ こうした中、米国のブリンケン国務長官は中東を歴訪し、停戦実現に向けて各方面に働きかけています。⁴ 米国は人質解放を含む一時的な停戦案を提示していますが、当事者双方から完全な合意は得られておらず、交渉は難航しています。⁴

10. 2024年大統領選:トランプ氏が大規模減税を公約

2024年の大統領選挙に向け、共和党の最有力候補であるドナルド・トランプ前大統領が支持固めを進めています。6月14日に78歳の誕生日を迎えたトランプ氏は、フロリダ州での集会で大規模な減税を公約しました。 8

具体的には、「再選時には法人税をさらに引き下げ、中間所得層にも減税措置を講じる」と表明しました。⁸ また、移民問題にも触れ、「米国はこれまでにない危険に晒されている」と主張し、強硬な移民対策の再実施を示唆しました。⁸ 一方、現職のバイデン大統領(81歳)も再選を目指しており、両候補の高齢問題が選挙戦の争点の一つとなっています。⁸

11. ロシア、米ウォールストリート・ジャーナル紙記者をスパイ容疑で裁判へ

ロシア当局は、2023年3月から拘束している米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者、エヴァン・ガーシュコビッチ氏をスパイ容疑で起訴しました。公判は非公開で開始される方針です。³

ロシア側は、同氏がNATO関連の機密情報を収集していたと主張しています。しかし、米政府と同紙はこれを「でっち上げによる不当拘束」であり、ジャーナリズムへの攻撃だと強く非難しています。³ この問題は、冷戦後最悪と言われる米露関係をさらに悪化させる懸念があります。

12. 地球規模で記録的な高温続く、気候変動への懸念強まる

米海洋大気局(NOAA)の最新報告によると、2024年5月の世界平均気温は観測史上最も暑い5月となりました。 9 これで、各月の世界平均気温が12ヶ月連続で過去最高を更新したことになります。 10

専門家は、地球温暖化とエルニーニョ現象の影響により、2024年が史上最も暑い年になる可能性が高いと指摘しています。熱波や山火事、ハリケーンといった異常気象のリスクが一段と高まると警告しており、気候変動対策の緊急性が改めて浮き彫りになっています。³


参考文献:引用文献

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