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韓国 主要ニュース【2025年6月15日】

2025年6月15日 韓国主要ニュース解説:G7外交、南北関係から国内経済・社会問題まで

2025年6月16日、韓国では李在明(イ・ジェミョン)大統領の外交デビューや、南北関係の新たな動きが注目を集めました。一方で、国内では不動産価格や物価の高騰といった経済問題が深刻化しており、新政権の政策手腕が問われています。国際情勢から国民生活に身近な話題まで、最新の主要ニュースを分かりやすく解説します。

李大統領、G7サミットで首脳外交を本格再開

韓国の李在明大統領は、6月16日からカナダで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席し、本格的な首脳外交を再開します。サミットでは米国のトランプ大統領や日本の石破首相らと会談する予定です。 1

今年6月初めに就任して以来、初の多国間外交の舞台となります。昨年末の非常戒厳宣言に端を発した前政権の混乱と外交停滞からの関係修復を図る狙いがあります。韓国政府は日米韓の3カ国会談にも前向きな姿勢を見せており、通商摩擦の解消や対北朝鮮政策、ウクライナ支援などが議題となる見通しです。李大統領の外交デビューに、韓国内では期待が高まっています。

南北共同宣言25周年、李大統領が対話再開を強調

6月15日、2000年に発表された南北共同宣言から25周年を迎え、李在明大統領はSNSを通じて南北対話と協力の再開に強い意欲を示しました。 2

李大統領は「25年前の約束を改めて記憶すべきだ」と述べ、途絶えている南北間の対話チャンネルを速やかに復旧させると表明しました。新政権発足後、韓国側は対北朝鮮への宣伝放送を中止し、北朝鮮側も対韓国への拡声器放送を停止するなど、緊張緩和に向けた動きが見られます。李大統領は「平和こそ経済」と強調し、南北関係の安定化が韓国経済のリスクを低減させ、成長の突破口になるとの考えを示しています。

「防弾法案」を巡る攻防が一時停止、李大統領が自制を要請

与党「共に民主党」内で進められていた、いわゆる「李大統領防弾法案」を巡る動きが、一旦停止しました。この法案は、李在明大統領に関連する刑事裁判を在任中は停止させることなどを目的としたものでした。 3

当初、与党は法案の強行採決も辞さない構えでした。しかし、李大統領自身が党指導部に対し「自分の身に関する法案を無理に処理しないでほしい」との意向を伝えたことで、与党は採決を見送りました。この「防弾法案」には野党や世論から「特定人物のための悪法だ」と厳しい批判が上がっていました。李大統領の発言を受け、与党は民生経済対策を優先する方針に転換し、政界の緊張はひとまず緩和されています。

ソウル・京畿でマンション価格が急騰、9割が過去最高値を更新

韓国の不動産市場が再び過熱の兆しを見せています。ソウル市と隣接する京畿道の主要な大規模マンションでは、取引価格が過去最高額を更新する例が相次いでいます。 4

今年に入り、実取引価格で過去最高を記録した大規模団地は少なくとも37か所にのぼりました。背景には住宅ローン規制の緩和と、将来の低金利への期待感があります。実際に、6月に入り主要銀行の住宅ローン残高は急増しました。この事態を受け、金融当局は6月16日に緊急会合を開き、融資動向を点検するなど対応に乗り出しています。

中東情勢の緊迫化、韓国も原油高騰に警戒

イスラエルとイランの軍事的衝突が激化し、韓国経済にも影響が懸念されています。6月13日のイスラエルによる攻撃をきっかけに双方の報復合戦が続き、15日深夜から16日未明にかけて、イランはイスラエル北部の港湾都市ハイファやテルアビブを弾道ミサイルで攻撃しました。 5

この攻撃で、テルアビブでは少なくとも3人が死亡し、数十人が負傷。イラン側は「イスラエルの多層防空網をかいくぐる新手法を用いた」と主張しています。紛争拡大への懸念から、国際原油価格は一時7%以上急騰しました。原油の多くを輸入に頼る韓国政府は、ホルムズ海峡封鎖といった最悪の事態も想定し、エネルギー調達先の多角化を検討するなど警戒を強めています。

SKグループ、アマゾンと韓国最大のAIデータセンター建設へ

韓国財界2位のSKグループが、米国のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と提携し、韓国国内で最大規模となるAI(人工知能)専用のデータセンターを建設することが分かりました。 6

建設地は南東部の蔚山(ウルサン)市で、2027年までの稼働開始を目指しています。施設は国内最大級の電力容量を持ち、約6万枚のGPU(画像処理半導体)を搭載する計画です。SK側は、このプロジェクトによって約25兆ウォンの経済波及効果と7万8千人の雇用創出を見込んでおり、韓国がAI技術競争で主導権を握るための重要な基盤となると期待されています。

東海ガス田「大王クジラ」開発予算ゼロ、資源政策に政治の影

韓国政府は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権が推進していた東海(日本海)沖の海底ガス田開発計画(通称「大王クジラプロジェクト」)について、来年度の政府予算案に関連予算を計上しない方針であることが分かりました。 7

一方で、日本と係争中の南海の「第7鉱区」周辺での資源探査予算は、前年の3倍以上に増額されました。東海ガス田は有望性が確認されていたにもかかわらず、前政権の主要プロジェクトだったという政治的な理由から後回しにされたとの見方が出ています。専門家からは「政権交代のたびに資源開発政策が揺らげば、国のエネルギー安全保障に支障が出る」と懸念する声も上がっています。

韓国の食料品物価、OECDで2番目の高さに

韓国の物価高が、国民生活に重い負担を強いています。国際比較データによると、購買力平価(PPP)ベースで見た韓国の食料品価格は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国の中でスイスに次いで2番目に高いことが分かりました。 8

特に外食費の値上がりが著しく、この5年間で約25%も高騰しました。例えば、海苔巻き(キンパ)は38%、ハンバーガーは37%値上がりし、庶民の味であるジャージャー麺やトッポッキも30%以上価格が上昇しています。気候変動やウォン安による食材費の上昇に加え、人件費や手数料の増加が背景にあるとみられています。家計に占める食費の割合は約29%に達しており、国民からは不安の声が上がっています。 9


参考文献:引用文献

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