【2025年6月18-19日】暗号資産ニュース:米上院がステーブルコイン法案可決、JPモルガンも預金トークン試験運用へ
2025年6月18日から19日にかけて、暗号資産(仮想通貨)の世界では、規制と実用化の両面で歴史的な進展がありました。米国では初の包括的なステーブルコイン規制法案が上院を通過し、大手銀行JPモルガンはブロックチェーン上での預金トークンの試験運用を発表しました。
- 米上院、ステーブルコイン規制法案「GENIUS法」を可決
- JPモルガン、コインベース基盤でUSD預金トークンを試験運用
- Coinbase、株式トークン化サービスの提供に向け米SECに申請
- 中国人民銀行、デジタル人民元の国際センター設立を発表
- NYSE上場のDDC社、ビットコイン財務戦略に向け約5.3億ドルの資金調達
- カナダで初のXRP現物ETFが承認、トロント市場で取引開始
- イランの大手暗号資産取引所でハッキング、約9,000万ドル相当が「焼却」被害
- 中東緊張で暗号資産市場が急落、ビットコインの安全資産神話に揺らぎ
- ヨルダン、初の暗号資産法を制定し取引サービスを本格規制へ
- NFT市場に復調の兆し – DoodlesのNFTステッカーが即日完売
- 参考文献:引用文献
米上院、ステーブルコイン規制法案「GENIUS法」を可決
(2025年6月18日)
米連邦議会の上院は6月17日、米ドルなどに価値が連動するステーブルコインの規制枠組みを定める超党派法案「GENIUS法」を、賛成68票・反対30票の大差で可決しました。 1
これは、米国におけるステーブルコインの初の包括的な規制枠組みです。法案は、発行者に対して常に米ドルや米国債などの流動性資産で資産を裏付けることや、準備金の内訳を毎月開示することを義務付けています。この法案が成立すれば、暗号資産に明確なルールが敷かれ、金融機関や企業の活用が進むと期待されています。この報道を受け、大手ステーブルコイン発行会社サークルの株価は一時34%も高騰しました。 4
JPモルガン、コインベース基盤でUSD預金トークンを試験運用
(2025年6月18日)
米国の最大手銀行であるJPモルガン・チェースは、自社の米ドル建て預金トークン「JPMD」の試験運用を発表しました。このトークンは、大手暗号資産取引所コインベースが開発したイーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Base」上で発行されます。
JPMDは、機関投資家の顧客間で24時間365日、リアルタイムの資金移動を実現することを目指しています。 7 伝統的な金融機関が、パブリックなブロックチェーン技術を活用して本格的なデジタル通貨サービスに乗り出す動きとして、大きな注目を集めています。 9
Coinbase、株式トークン化サービスの提供に向け米SECに申請
(2025年6月17日)
米暗号資産取引所大手コインベースは、株式をブロックチェーン上でトークン化して取引できるサービスの提供を目指し、SEC(米証券取引委員会)に承認を求めていることを明らかにしました。 5
このサービスが実現すれば、投資家は24時間いつでも、ブロックチェーンを通じて株式の売買が可能になります。取引コストの削減や決済の迅速化が期待され、既存のネット証券に対抗しうる革新的な事業となる可能性があります。トランプ政権下で暗号資産に寛容な姿勢を見せるSECが、この申請を承認するかに注目が集まります。
中国人民銀行、デジタル人民元の国際センター設立を発表
(2025年6月19日)
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は6月18日、上海で開かれたフォーラムで、デジタル人民元(e-CNY)の国際的な運用を担うセンターを上海に新設すると発表しました。 16
これは、中国が自国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を世界的に普及させる戦略の一環です。潘総裁は、ステーブルコインなどの台頭が国際決済を再構築していると述べ、民間デジタル通貨の動きを強く意識していることを示唆しました。米ドル覇権に対抗する金融インフラを構築する狙いもあると見られています。
NYSE上場のDDC社、ビットコイン財務戦略に向け約5.3億ドルの資金調達
(2025年6月19日)
ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場するDDCエンタープライズ社は、企業の準備金としてビットコインを大量に保有する財務戦略のため、最大5億2800万ドル(約730億円)の資金調達に成功したと発表しました。 22
同社は調達資金のほぼ全額をビットコインの購入に充てる計画で、「世界で最も価値あるビットコイン財務を構築する」というビジョンを掲げています。これは、米マイクロストラテジー社に倣い、企業がビットコインを価値保存手段として活用する動きが広がっていることを象徴しています。
カナダで初のXRP現物ETFが承認、トロント市場で取引開始
(2025年6月18日)
カナダの資産運用会社パーパス・インベストメンツは、同国初となるXRP(リップル)の現物連動型ETF「Purpose XRP ETF」の規制承認を取得し、6月18日にトロント証券取引所に上場させました。 28
米国ではまだ承認されていないアルトコインの現物ETFがカナダで実現したことは、暗号資産が伝統的な金融市場へ組み込まれる上で重要な一歩と評価されています。カナダが北米における暗号資産金融商品の「実験場」としての役割を担っていることを示しています。
イランの大手暗号資産取引所でハッキング、約9,000万ドル相当が「焼却」被害
(2025年6月19日)
イラン最大級の暗号資産取引所ノビテックスが6月18日にサイバー攻撃を受け、約9,000万ドル(約126億円)相当の暗号資産が被害に遭いました。 34
犯行声明を出したハッカー集団は、盗んだ暗号資産を誰もアクセスできないウォレットに送り、事実上「焼却」したと主張しています。これは金銭目的ではなく、イラン政府への政治的なメッセージが込められた攻撃と見られています。中東の地政学的対立が、暗号資産の領域にも波及した事例と言えます。
中東緊張で暗号資産市場が急落、ビットコインの安全資産神話に揺らぎ
(2025年6月18日)
中東地域の軍事的緊張が高まる中、投資家のリスク回避姿勢が強まり、暗号資産市場は下落しました。 39 特に、イスラエルによるイラン攻撃開始のニュース以降、ビットコインも売り込まれ、「有事の際にビットコインは安全な避難先になる」という「デジタルゴールド」神話に疑問が投げかけられました。
ヨルダン、初の暗号資産法を制定し取引サービスを本格規制へ
(2025年6月18日)
中東のヨルダンで、暗号資産の包括的な法規制となる「バーチャル資産取引規制法」が成立しました。 41 この法律は、暗号資産交換業者(VASP)に対するライセンス制度の導入や、マネーロンダリング対策などを定めています。これまで規制の空白地帯だった中東地域で、健全な市場育成を目指す動きとして注目されます。
NFT市場に復調の兆し – DoodlesのNFTステッカーが即日完売
(2025年6月18日)
人気NFT(非代替性トークン)コレクション「Doodles」が6月18日に発売した限定のデジタルステッカーが、24時間以内に完売しました。 50 これは、一時の投機ブームが落ち着いたNFT市場が、実用的なデジタルグッズとしての新たな需要に支えられ、復調しつつあることを示す象徴的な出来事と見られています。
参考文献:引用文献
- 米上院、暗号資産業界の画期的なステーブルコイン法案を可決 (Reuters)
- サークル社株、ステーブルコイン法案の上院通過後に急騰、IPO後のラリーは500%超に (CoinDesk)
- コインベース、ブロックチェーンベースの株式提供で米SECの承認を求める (Reuters)
- The Protocol: Polyhedra、流動性攻撃後に買い戻し計画を約束 (CoinDesk)
- JPモルガン、コインベースのBaseブロックチェーン上でUSD預金トークンを導入 (CoinDesk)
- 中国人民銀行、上海にデジタル人民元国際センターを設立へ (Blockhead)
- DayDayCookの親会社、ビットコイン準備金戦略のために5億2800万ドルを調達 (Blockhead)
- カナダ初のXRP現物ETFが承認、6月18日にトロント証券取引所で取引開始 (Crypto Trillion)
- イラン暗号資産取引所にサイバー攻撃、イスラエル関与のハッカー集団 (ロイター)
- 最近の仮想通貨安、デジタル資産は混乱時の避難先との見方揺るがす (Bloomberg)
- ヨルダン、金融イノベーション促進のため仮想資産の初の法的枠組みを制定 (Unlock-BC)
- DoodlesがNFTステッカーを発売 – 24時間足らずで完売 (InsideBitcoins)
- ドル連動型ステーブルコインの規制枠組み案、米議会上院が可決 (ロイター)
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