2025年6月1日~7日 暗号資産:仮想通貨 国際ニュース まとめ
2025年6月1日~7日、暗号資産(仮想通貨)の分野では、多くの重要なニュースが報じられました。この記事では、一般投資家の皆様の参考となるよう、価格動向、アルトコインやミームコインの話題、企業や技術開発の動き、規制・政策、そしてセキュリティ関連の事件といったテーマごとに、その日の主要ニュースを丁寧に解説します。
暗号資産:仮想通貨 市場動向と価格トレンド
ビットコイン価格の急落と急騰
ビットコイン(BTC)は6月5日に、ここ4週間で最も低い水準まで急落しました。しかし、その翌日の6月6日には一時10万5000ドル近くまで急反発する場面がありました。 1
この価格変動の背景には、米国の景気後退への懸念や、米国政府が計画している「戦略的ビットコイン準備金」に関する不透明感、さらには一部の資産保管業者(カストディアン)によるビットコインの再担保(顧客から預かった資産を別の担保として利用すること)への疑念などが指摘されています。専門家は、これらの懸念が解消されない限り、価格がすぐに11万ドル台を回復する可能性は低いと見ています。
実際、著名トレーダーのジェームズ・ウィン氏は、ビットコインの反発を見込んで高いレバレッジ(てこの原理のように、少ない資金で大きな取引を行うこと)をかけた取引を行いました。しかし、価格の急落により約2500万ドル(約38億円)相当の損失を被ったと報じられています。
イーサリアムETFへの順調な資金流入
米国では、現物イーサリアムETF(上場投資信託)への資金流入が続いています。5月中旬から15営業日連続で資金が流入しており、6月6日だけで約2530万ドルが新規に流入しました。5月16日以降の累計流入額は約8億3,750万ドルに達しています。このペースが続けば、累計流入額は10億ドルを突破する見込みです。この動きは、機関投資家によるイーサリアム市場への関心の高さを示していると分析されています。
NFT市場の回復の兆し
NFT(非代替性トークン)市場にも、安定の兆しが見られました。直近1週間のNFT売上高は約2%増加し、総額1億0620万ドルに達するなど、小幅ながら回復を示しました。特に購入者数が前週比で55%増の約82.7万人に急増しており、市場への新規参入者が増えている可能性があります。 2 ビットコイン価格の回復と歩調を合わせるこの動きは、暗号資産市場全体の投資家心理が改善していることを反映していると言えるでしょう。
アルトコイン・ミームコイン関連
ビットコイン以外の暗号資産であるアルトコインや、インターネット上のジョークから生まれたミームコインの分野でも、注目すべき動きがありました。
トランプ大統領の公式ミームコイン
ドナルド・トランプ米大統領が後押しする公式トークン「TRUMPコイン」に関する話題が注目されました。トランプ大統領は自身のSNSで、このミームコインが自身の支持率を測る指標になるとの趣旨の記事を共有し、トークンへの支持をにじませました。
しかし、トークン価格は現在約10ドルと、年初来の高値である73ドルから85%も下落しています。さらに、7月18日には全供給量の約73.5%にあたる5億ドル超相当のトークンが市場に放出される予定(ロックアップ解除)です。この大量放出が価格をさらに押し下げる可能性が指摘されています。 3
こうした中、トランプ氏の息子であるエリック・トランプ氏が、自身も関与する暗号資産企業を通じてTRUMPトークンを追加取得する計画を発表し、市場の信頼回復を図りました。 4 しかし、発表後も価格に顕著な反応は見られず、市場では依然として慎重な見方が多いようです。
企業・技術開発の動き
MicroStrategy社の大型資金調達計画
世界最大のビットコイン保有企業として知られる米MicroStrategy社は、さらなるビットコイン買い増しのため、新たな資金調達計画を発表しました。 5 同社は年利10%の永久優先株を発行し、約9億8000万ドル(約1421億円)を調達する見込みです。調達資金はビットコインの追加取得などに充当するとしており、同社の積極的なビットコイン投資姿勢が改めて示されました。
暗号資産取引所ジェミニのIPO申請
ウィンクルボス兄弟が率いる米大手暗号資産取引所ジェミニ(Gemini)は、将来的な株式上場(IPO)に向けて、米証券取引委員会(SEC)に非公開で登録届出書を提出しました。ステーブルコイン発行会社サークル社のIPO成功を目前にしての動きとみられ、暗号資産業界の資金調達意欲の高まりが示唆されています。
テック大手によるステーブルコイン活用検討
Apple、Google、Airbnb、そしてイーロン・マスク氏が率いるX(旧Twitter)といった米国の主要テック企業が、自社の決済システムへのステーブルコイン統合を検討しているとの報道が大きな話題となりました。これらの企業は、取引コストの削減や国際送金の効率化の手段としてステーブルコインに注目しており、暗号資産企業と初期段階の協議を進めているとのことです。
予測市場ポリマーケットとxAIの提携
分散型予測市場を提供するポリマーケット(Polymarket)が、イーロン・マスク氏の創設した人工知能企業xAIと提携し、xAIおよびXの公式予測市場パートナーとなることが発表されました。巨大なソーシャルメディアとブロックチェーン基盤の予測市場が連携することで、新しい形の世論調査やイベント予測サービスが生まれる可能性があり、市場の関心を集めています。
IOSTの大型資金調達
ブロックチェーンプラットフォームのIOSTは、現実資産のトークン化インフラを普及させるため、戦略的資金調達で2,100万ドル(約30億円強)を調達しました。DWFラボなどの機関投資家が主な引受先となり、調達資金は製品開発やアジア太平洋地域を中心とした事業展開の加速に充てられる予定です。
規制・政策の動向
米国における規制議論と政治的対立
ワシントンでは6月6日、暗号資産の市場構造に関する公聴会が開催されましたが、与野党の激しい応酬の場となりました。野党民主党側は、トランプ大統領が暗号資産で私的な利益を図っていると批判しました。これに対し与党共和党側は「政治的な茶番だ」と反論し、本来の議題である法案の議論よりも党派対立が目立つ形となりました。
「中国がビットコイン保有を禁止」報道の真相
アジアでは、「中国が暗号資産の保有を全面的に禁止する」との噂が一時広まりました。しかし調査の結果、この情報は信頼できる公式な情報源から出たものではなく、誤報である可能性が高いことが判明しています。中国では取引やマイニングは厳しく制限されていますが、個人が暗号資産を保有すること自体は違法ではないとの司法判断が繰り返し示されています。
米ネバダ州 vs Crypto.com
米国では、規制の解釈を巡る企業と当局の争いも表面化しています。大手暗号資産企業Crypto.comは、同社の金融商品が「スポーツ賭博」にあたるとしてネバダ州当局に提供を阻止されたとして、州のゲーミング管理当局を提訴しました。この訴訟は、暗号資産を巡る連邦法と州法の管轄争いを象Cするものとして注目されています。
セキュリティ・事件
ビットコインDeFiプロトコルでハッキング被害
ビットコインを基盤とする分散型金融(DeFi)プラットフォーム「Alex Protocol」で6月6日、約830万ドル相当の暗号資産が流出するハッキング事件が発生しました。原因はスマートコントラクト(契約の自動実行プログラム)の脆弱性でした。この事件を受け、プロジェクトを支援するAlex Lab財団は、被害を受けた利用者全員に全額を補償することを約束しました。
米司法省、ダークウェブ市場を一斉摘発
米司法省は6月5日、ダークウェブ上で盗難クレジットカード情報を売買していた闇市場「BidenCash」に対する大規模な摘発作戦を発表しました。当局はこのマーケットに関連する145のウェブドメインと仮想通貨を差し押さえ、プラットフォームの機能を実質的に封じ込めることに成功しました。
Gate.io取引所での異常相場と補償
6月5日、暗号資産取引所Gate.ioで、上場直後の新興トークンの価格が異常に急騰し、多くのトレーダーに大規模な損失が発生するトラブルがありました。同取引所は、価格配信システムの異常が原因だったと説明し、損失を被ったユーザーへの全額補償と、異常な価格で得られた利益はユーザーのものとする方針を発表しました。補償総額は3,000万ドルを超える見通しです。
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