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ロシア 主要ニュース【2025年6月19日】

【2025年6月17-20日】ロシア関連ニュース:キーウ大規模攻撃の一方で中東情勢には自制要請

2025年6月17日から20日にかけて、ロシアはウクライナでの軍事行動を激化させる一方、中東情勢やG7の動向には複雑な反応を見せています。また、北朝鮮やインドネシアとの関係強化を進めるなど、活発な外交も展開されました。

G7サミット、ウクライナ巡る共同声明を見送り

(6月17日)
カナダで開催されたG7(主要7か国)首脳会議は17日、対ウクライナ支援に関する共同声明を出せないまま閉幕しました。 1

議長国カナダのカーニー首相は、米国の抵抗により強いロシア非難声明を断念し、代わりに対露制裁強化と米国主導の和平努力を支持する議長総括を発表しました。ウクライナのゼレンスキー大統領も会議に出席し、一層の支援を強く要請しましたが、トランプ米大統領が早期帰国したため直接会談は実現しませんでした。

ロシア、ウクライナに大規模空爆、今年最悪の被害

(6月17日未明)
ウクライナの首都キーウや各地は17日未明、ロシア軍による大規模な無人機(ドローン)とミサイルによる攻撃を受け、少なくとも18人が死亡、151人が負傷しました。 6 キーウでは高層アパートが一部破壊され、同市への攻撃としては今年最悪の犠牲者数となりました。

ゼレンスキー大統領は、ロシアが440機以上のドローンと32発のミサイルを使用したとして「純然たるテロ行為だ」と非難しています。ロシア国防省は、ウクライナの軍事関連施設を攻撃したものだと主張しています。

北朝鮮、ロシアに部隊派遣か – 金正恩氏がロシア高官と会談

(6月17日)
北朝鮮の朝鮮中央通信は、金正恩総書記が17日に訪朝したロシアの安全保障会議書記と会談し、ウクライナと国境を接するロシア・クルスク州での「特別軍事作戦」について協議したと報じました。 11

ロシア側の報道によると、北朝鮮は地雷除去要員1000人とインフラ復旧のための軍事建設要員5000人の派遣を決定したと伝えられています。これが事実であれば国連制裁に明白に違反するとして、韓国政府は18日、計画を直ちに中止するよう強く非難しました。

ロシア、イスラエルと米国にイラン攻撃の自制要請「核惨事の恐れ」

(6月19日)
中東情勢の緊迫化を受け、ロシアはイスラエルや米国による対イラン軍事行動のエスカレーションに強い警鐘を鳴らしています。プーチン大統領は19日、「イスラエルや米国によるハメネイ師(イラン最高指導者)暗殺の可能性について議論すらしたくない」と述べ、紛争は外交的手段で解決すべきだとの認識を示しました。 14

また、ロシア外務省高官は18日、米国に対し「イランへの攻撃は中東情勢を根本的に不安定化させる」と自制を促し、イスラエルの度重なる空爆が核惨事を招きかねないと警告しました。 18

中露首脳が電話会談、G7の不一致や中東危機を協議

(6月19日)
ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は19日に電話会談を行い、G7サミットで首脳間の見解の相違が生じた状況について協議したと、クレムリン(ロシア大統領府)が発表しました。 21

両首脳は、イスラエル・イランの危機や中露関係に加え、来月ブラジルで開催予定のBRICS(新興5か国)会議での協力強化についても話し合いました。米欧主導の国際秩序に対抗し、中露の連携を深める形となっています。

ロシアとインドネシアが戦略的パートナー宣言

(6月19日)
ロシアのプーチン大統領と、今年就任したインドネシアのプラボウォ大統領は19日に会談し、政治・経済・防衛など広範な分野で協力を拡大する「戦略的パートナーシップ宣言」を採択しました。 25

プーチン大統領は、インドネシアが今年1月に東南アジア諸国で初めてBRICSに加盟したことを歓迎。また、両国の政府系ファンドは20億ユーロ規模の共同投資ファンド設立で合意しました。 28 ロシアは、西側からの孤立を深める中、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との関係強化を図っています。

クレムリン「G8からのロシア除外は誤り」 – トランプ氏に同調

(6月17日)
ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、2014年にロシアをG8から除外した措置は「大きな間違いだった」と述べ、トランプ米大統領の主張に同意する考えを示しました。 31 これは、前日のG7サミットでトランプ大統領が「ロシア排除は間違いだった」と主張したことを受けたものです。

プーチン大統領「トランプ政権下なら戦争起きず」発言

(6月19日)
プーチン大統領は19日の会合で、ウクライナ紛争について「トランプ米大統領が当時政権に就いていたならば起こらなかった」というトランプ氏自身の主張は正しいと明言しました。 34 ロシア指導部が、米国内の議論に介入する形でトランプ氏の立場に公然と賛同したことになります。

EU、2027年末までにロシア産ガス輸入禁止へ法整備提案

(6月17日)
欧州委員会は17日、2027年末までにロシア産の天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)の輸入を全面的に禁止するための法的措置を提案しました。 36 ウクライナ侵攻を受けてEUが進める「脱ロシアエネルギー」政策の一環で、実現すればEU域内へのロシア産ガスの流入は事実上ゼロとなる見通しです。

ロシア政府系ファンド総裁「必要なら米・サウジと協調」

(6月19日)
ロシアの政府系投資ファンドであるRDIFのキリル・ドミトリエフ総裁は19日、原油市場の安定化のため、必要であればロシア、米国、サウジアラビアが協調行動を取る可能性があるとの認識を示しました。 40 中東紛争の激化による供給不安が高まる中、2020年のパンデミック時に実現した異例の三国協調が再現される可能性を示唆する発言です。

米政権、対露和平圧力の作業部会を解散

(6月17日)
米トランプ政権下で今年3月頃に立ち上げられた、ロシアへの圧力を検討する省庁横断の作業部会が、最近になって解散していたことが明らかになりました。 43 ウクライナ和平交渉が進展しない現状にトランプ大統領が苛立ちを示していることや、国家安全保障会議(NSC)での大幅な人事解任が背景にあると見られています。政権内の対ロシア方針の不一致が浮き彫りになりました。


参考文献:引用文献

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