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アメリカ 主要ニュース【2025年6月16日】

【2025年6月16日】米国の主要ニュース:G7での亀裂、国内では大規模抗議デモも

2025年6月16日、米国では外交と内政の両面で大きな動きがありました。カナダで開催されたG7サミットでは同盟国との溝が露わになり、国内ではトランプ大統領の政策に抗議する大規模なデモが発生。中東情勢の緊迫化も影を落としています。この記事では、この日に報じられた米国の主要ニュースを分かりやすく解説します。

イスラエルとイランの武力衝突が激化、米大統領が停戦仲介を提案

中東でイスラエルとイランの軍事衝突が激化し、多数の犠牲者が出ています。G7(主要7か国)首脳会議の開幕を目前にした6月16日、トランプ米大統領は事態の深刻化を受け、「すぐにイランの首都テヘランから退避するように」と異例の呼びかけを行い、両国間の停戦実現を提案しました。 1

カナダで開催されたG7ではイラン問題への対応が最優先議題となり、首脳らは情勢の沈静化を求める共同声明を発表。声明ではイスラエルの自衛権を擁護するとともに、イランを地域の不安定化の要因として名指ししました。トランプ大統領は中東情勢への対応に注力するため、G7を予定より早く切り上げて帰国しています。 4

G7サミット:同盟国との亀裂露わに、貿易交渉では一定の進展

6月15日からカナダで開催されたG7首脳会議では、トランプ米大統領の言動が原因で、同盟国との溝が浮き彫りになりました。大統領は、2014年にロシアをG8から除外したのは「大きな間違いだった」と発言し、欧州各国の強い懸念を招きました。

一方で貿易面では一定の成果もありました。米国とイギリスは先月合意した関税引き下げを正式に承認し、英国は米国向け関税引き下げを獲得した初の国となりました。日本の石破茂首相も自動車関税問題でトランプ大統領に直接懸念を伝えるなど、各国が個別の交渉を進めました。

トランプ大統領が軍事パレード敢行、各地で「王はいらない」抗議デモ

6月15日、トランプ大統領は自身の79歳の誕生日を祝う大規模な軍事パレードを首都ワシントンD.C.で開催しました。 10 ホワイトハウスは「25万人が観覧した」と発表しましたが、現地では空席が目立ち、実際の参加者は予想を大幅に下回ったと報じられています。約4,500万ドル(約60億円)もの公費が投じられたことにも、「税金の無駄遣い」との批判が上がりました。

その一方、同日には全米各地で「No Kings(王はいらない)」と題した抗議デモが開催されました。50州すべてで計約2100か所、延べ500万人以上が参加する大規模なものとなりました。 13

デモの引き金となったのは、ロサンゼルスのデモ鎮圧への州兵投入や、ICE(米移民・関税執行局)による移民急襲など、トランプ政権による一連の強権的な措置です。参加者らは「民主主義への挑戦だ」と政権を非難し、市民が黙って従うことはないという明確な意思を示しました。

オピオイド製造元パデュー社、総額74億ドルで和解合意

長年にわたり鎮痛剤「オキシコンチン」を販売し、オピオイド中毒危機を招いたとして訴えられていた製薬会社パデュー・ファーマ社とその経営一族であるサックラー家が、全米50州などと新たな和解案に合意しました。 16

和解総額は74億ドル(約1兆円)にのぼり、サックラー家は自己資産から約65億ドルを拠出する見通しです。和解金は今後15年かけて、各州の薬物依存症対策や被害者支援の基金に分配されます。ニューヨーク州の司法長官は、一家に責任を取らせる「歴史的和解」だと強調しました。

下院が公共放送予算の撤回案を可決、国外支援も大幅削減へ

6月12日、共和党が多数を占める連邦議会下院は、公共放送への連邦予算を2年間で計11億ドル削減する法案を僅差で可決しました。 19 この法案が成立すれば、NPR(公共ラジオ)PBS(公共テレビ)などの運営に影響が出ることになります。

この措置は「偏向メディアに税金を使うな」というトランプ政権の方針に沿ったものです。法案には、アフリカでのエイズ対策支援(PEPFAR)やユニセフへの拠出金など、対外援助の大幅な削減も含まれています。法案は上院に送られますが、民主党が強く反発しており、成立は不透明な状況です。

オープンAIがグーグルと提携、巨額クラウド契約で異例の協業

生成AI「ChatGPT」で知られるオープンAI社が、クラウドサービス分野で競合するグーグル社と異例の提携を結んだことが明らかになりました。 24

オープンAIは、AIモデルの学習に必要な膨大な計算資源を確保するため、既存のマイクロソフトのクラウドに加え、新たにグーグルのクラウド基盤を利用する契約を5月に締結したと報じられています。巨大言語モデルの開発競争が激化する中、ライバル企業同士であっても協力を余儀なくされている状況が浮き彫りになりました。

米中西部~北東部で記録的熱波、8000万人超に高温注意報

米国の中西部から北東部にかけて記録的な熱波が襲来し、8000万人以上を対象に高温注意報が発令されています。 28 6月第3週の初めには、多くの地域で気温が摂氏35度前後に達し、体感温度は38度を超える見込みです。

シカゴやニューヨークなどの主要都市では、過去数十年で例を見ない長期間の猛暑となる恐れがあります。各地の当局は、図書館などをクーリングセンターとして開放し、熱中症対策に万全を期しています。 30

インフレ率2.4%に減速、FRB金融政策にも影響か

最新の経済指標によると、米国のインフレ率が低下傾向にあります。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で+2.4%となり、2021年以来の低い伸び率を記録しました。 32

インフレが沈静化しつつあることは、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策にも影響を与えています。物価上昇圧力が和らいだことで、市場では利上げの停止や、利下げへの転換に対する期待が高まっています。


参考文献:引用文献

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