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外国為替市場(FX Markets) 主要ニュース【2025年6月17日】

【2025年6月17日】外国為替市場ニュース:中東リスクでドル高進行、米景気減速の兆しも

2025年6月17日の外国為替市場では、中東情勢の緊迫化を背景に、安全資産とされる米ドルが買われる展開となりました。一方で、米国や中国では景気減速を示す経済指標が相次ぎ、各中央銀行の金融政策の行方に注目が集まっています。

中東リスクの高まりで安全資産のドルが買われる

(2025年6月18日 01:41 UTC 報道)
イランとイスラエル間の軍事衝突が激化し5日目に突入したことで、市場ではリスクを避ける動き(リスクオフ)が強まりました。原油価格が前日比で4%以上も急騰する中、安全資産と見なされる米ドルが主要通貨に対して大きく値を上げました。

特に、エネルギー輸入国である日本の円や欧州のユーロは、原油高による経済への負担が懸念され下落。ドル円相場は一時1ドル=145.44円と、1週間ぶりの円安・ドル高水準に達しました。 2

米経済指標が悪化、FRBの利上げ休止観測が強まる

(2025年6月17日 16:30 UTC 報道)
6月17日に発表された米国の5月小売売上高は、前月比-0.9%と市場予想を上回る落ち込みを記録し、4か月ぶりの大幅な減少となりました。 3 同時に発表された鉱工業生産や住宅関連の指標も悪化し、米国経済の減速懸念が広がっています。

こうした状況を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は17日から開催されているFOMC(連邦公開市場委員会)で、追加の利上げを見送るとの見方が市場の大勢を占めています。FRBが今後の経済見通しについてどのような判断を示すか、注目が集まっています。

中国経済の減速と人民元への下押し圧力

(2025年6月18日 08:06 北京 報道)
中国では景気減速への懸念が強まっています。5月の工業生産や小売売上高が市場予想を下回り、中国国内の需要が低迷していることが指摘されています。 7

これを受けて人民元は対米ドルで下落基調にあり、中国人民銀行(PBOC)が近く追加の金融緩和に踏み切るとの観測が強まっています。中国当局が通貨安の進行をどこまで容認するのか、その姿勢が注目されています。

日銀は金融政策を据え置き、緩和長期化を示唆

(2025年6月17日 東京 報道)
6月17日、日本銀行(日銀)は金融政策決定会合で、短期政策金利を現行の年0.50%に据え置くことを決定しました。 9 あわせて、長期国債の購入ペースを緩やかにする方針も示し、金融緩和の縮小には慎重な姿勢を明確にしました。

市場では、日銀のハト派的なスタンスが続くとの見方が強まり、米欧との金融政策の方向性の違いが意識されています。この結果、円を売ってドルなどを買う動きが優勢となり、円安基調が続く一因となっています。

米通商政策の不透明感、日本の輸出減少と貿易交渉難航

(2025年6月18日 13:27 東京 報道)
カナダで開催されたG7(主要7か国)首脳会議に合わせて行われた日米通商協議では、自動車関税を巡る溝が埋まらず、包括的な合意には至りませんでした。 10

この影響もあり、日本の5月の輸出額は前年比で1.7%減少し、8か月ぶりのマイナスとなりました。特に、米国による自動車関税のリスクが、日本の主要産業である自動車輸出に影を落としています。貿易摩擦の激化は、輸出に依存する国の通貨(円やユーロなど)にとって、先行き不透明感を強める要因となっています。

英国経済の減速傾向とポンド相場

(2025年6月10日 09:31 ロンドン 報道)
英国では、労働市場の過熱感が和らぎつつあります。4月までの賃金上昇率が鈍化し、失業率は約4年ぶりの高水準に上昇しました。 13

これらの指標はインフレ圧力の低下を示唆しており、イングランド銀行(BOE)が将来的に利下げに動くとの観測を強めています。この見方から、英国の通貨ポンドは対ドルで弱含みで推移しています。

新興国市場:ドル安の恩恵から一転、資金流出リスクも

(2025年6月17日 06:36 ロンドン 報道)
6月中旬までは、緩やかなドル安を背景に、ブラジルやメキシコといった新興国の通貨建て資産に資金が流入していました。 17 新興国の現地通貨建て国債ファンドには、8週連続で資金が流入していました。

しかし、17日の中東情勢の悪化により、投資家がリスク回避姿勢を強めたことで、これまで堅調だった新興国通貨にも売り圧力がかかっています。地政学リスクや貿易摩擦といった不確実性の高まりが、新興国市場からの資金流出を招く可能性が意識されています。


参考文献:引用文献

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