2025年4月6日前後に発生したETC大規模障害に関する情報まとめ

2025年4月6日前後に発生したETC大規模障害に関する情報まとめ(5月2日まで)

本稿では、2025年4月6日前後に発生したETC大規模障害の経緯・原因・対応状況について整理します。ETCは、高速道路料金所をノンストップで通過できる便利な電子課金システムですが、今回の障害により大きな混乱が生じました。以下では、時系列やNEXCO各社の対応、利用者支援策、そして再発防止策などを詳しくまとめています。


1. ETC障害の発生日時と概要

発生日時・場所: 2025年4月6日(日)未明(午前0時30分頃)、NEXCO中日本の管内にある一部の料金所で、ETCシステムの大規模障害が発生しました。障害によりETCレーンの課金処理ができなくなり、ETC専用レーンを含む料金所ゲートが開かない事態となりました。

この障害は東京都を含む1都7県(東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、長野)にまたがる最大17路線106箇所の料金所に影響を及ぼし、一部スマートIC(ETC専用の出入口)も閉鎖されるなど深刻な事態となりました。下記は概要と影響範囲です。

  • ETCシステム障害発生により、ETCレーンでの通行が不可
  • 最大2km以上の渋滞が10箇所で発生(NEXCO発表による)
  • スマートIC(ETC専用)出入口が一時的に閉鎖
  • 障害期間は約38時間に及び、通常のETC利用ができない状況が続いた

原因概要: ETC用データの破損が直接の原因でした。NEXCO中日本の調査によれば、ETC車載器の利用可否を判定するデータ領域に、別の目的の宛先データが誤って蓄積されてしまうプログラム欠陥が判明。4月5日深夜に実施されていたシステム改修(新しい深夜割引開始準備)と関連性が疑われましたが、最終的には「改修自体より、もともとのプログラム不備が根本原因」と結論付けられました。

◆ 障害発生後の主な時系列

日時
(2025年)
主な出来事
4月6日 0:30頃 NEXCO中日本管内でETCシステム障害発生。ETCレーン停止、通行不可。
1都7県・多数の料金所でETC利用不能、渋滞・通行止め・スマートIC閉鎖が相次ぐ。
4月6日 未明 各地のスマートIC(ETC専用)を順次閉鎖。
複数高速道路でETCレーン閉鎖が続出。
4月6日 13:30 障害長期化のため、ETC障害中の料金所はバーを開放。
その場で料金を収受せず、車両通行を優先する緊急措置を開始(後日精算対応)。
4月7日 03:00 NEXCO中日本がデータ破損を原因と特定。
プログラム更新の不具合を強く示唆。
4月7日 12:00 データ配信を自動から手動に切り替える応急対策を実施。
データ不整合を回避する暫定措置。
4月7日 14:00 応急処置によるシステム復旧が完了。
障害発生から約38時間後にETCレーン運用再開。
4月9日 NEXCO中日本の縄田社長が記者会見で謝罪。
「広域障害対応マニュアルが整備されていなかった」と明かす。
4月22日 NEXCO東日本・中日本・西日本の3社が合同で原因究明結果と暫定対策を公表。
プログラム欠陥によるデータ破損が障害原因と特定。
4月23日 国土交通省(MLIT)中野大臣がNEXCO中日本社長と面会。
ゴールデンウィーク前の徹底対策と6月中の再発防止策報告を正式指示。
5月2日 NEXCO中日本がETC障害期間中の料金を全額免除・還元する方針を発表。
同時に、同様の障害発生時の暫定対応方針を示す。

2. NEXCOによる初期対応と復旧作業

◆ 現地での初期対応

障害が発生した4月6日未明、各料金所ではETCレーンが使えなくなったため、係員が一般レーンへ誘導し現金支払いを促すなどの対応を行いました。しかし、障害が想定以上に長引いて利用者への影響が深刻化。そこで4月6日13時30分頃からはNEXCO中日本の判断で、バー開放の緊急措置が取られました。これは料金所でその場の支払いを行わず車両を通過させ、後日精算とする方法です。

◆ 利用者への案内

バー開放により、一時的に通行料金を収受しないと決定したため、NEXCO各社は公式サイトやSNS、マスコミなどを通じ「ETC障害が発生している料金所では、そのままお通りください」と周知しました。また、走行履歴を後から申告してもらうためのWebフォームやQRコードを用意し、利用者混乱の軽減を図っています。

◆ 復旧作業の進展

障害後はシステムベンダーを含めた緊急チームが原因調査を実施。当初は4月5日深夜のシステム改修が疑われましたが、実際にはデータ配信プログラムそのものにバグがあり、データ破損が起きたことが判明しました。4月7日14時までに応急的なデータ配信の切り替え(自動→手動)やデータ修復が行われ、ETCレーンは概ね復旧しました。

◆ 社内緊急体制

NEXCO中日本は障害発生直後に社内で緊急対策本部を立ち上げ、NEXCO東日本・西日本とも連携しながら復旧に取り組みました。しかし「広域障害に対応するマニュアルが未整備だった」という点が大きく、原因特定と復旧に時間を要したことを社長自ら認めています。これを契機に、NEXCO各社は直ちに緊急時の社内ルールや体制の見直しに着手することになりました。


3. 利用者への対応措置(料金請求・返金対応など)

◆ 通行料金の扱い

ETC障害中にバー開放された結果、本来徴収すべき通行料金をその場で収受できなかった車両が多数発生。当初は「後日精算」として利用者に申告を求めていましたが、その後の検証でデータ取得状況やシステム不具合の影響を考慮し、2025年5月2日に「障害発生時の通行料金を事実上免除(全額還元)する方針(外部リンク:NEXCO 中日本)が決定されました。

◆ 具体的な還元措置

  • ETC無線通行できた車両(ETCカード利用): 通常通りクレジット決済が行われるが、同額のETCマイレージサービスポイントを付与することで実質的に無料化。
  • ETCコーポレートカード(法人向け): 利用額と同額を次回以降の請求額から差し引く形で還元。
  • 現金やクレジットカードで支払った車両: 申出に基づき、利用料金と同額のQUOカードを送付し実質的に払い戻し。
  • すでにWeb等で支払い申告をした車両: 全額免除扱いとなり、改めて請求はしない方針。

このように、NEXCO側は「今回のETC障害は深刻な社会的影響を与えたため、特別措置として全額を還元する」と説明しています。高速道路利用の一般規約上は必ずしも料金免除義務はありませんが、「利用者へのサービス向上と信頼回復を最優先した」という判断が背景にあるようです。

還元手順などについては上記のNEXCO 中日本 公式ページを参照してください。


4. 2025年5月現在までの最新進展状況

4月7日に応急復旧を完了して以降、ETCシステムは概ね安定稼働に復帰し、ゴールデンウィークのピークも乗り切りました。5月初旬にはプログラムの恒久対策が進み、「ほぼ通常運用に戻った」と見られています。

◆ 利用者対応の完了

5月2日に打ち出された料金全額還元措置により、障害に関する利用者対応は大きく前進しました。NEXCO中日本は同日付でWeb申告受付を終了し、今後は還元に向けた事務手続き(ETCマイレージポイント付与、QUOカード発送など)に移っています。6月中旬頃には各種ポイントの付与が完了し、現金支払い組にも順次補償が届く見通しです。

◆ 再発防止策の進捗

4月22日に公表された暫定対策を踏まえ、NEXCO3社の検討委員会は5月現在も活動を継続。6月中に最終報告書をまとめ、国土交通省へ正式提出するとしています。これにより「広域障害時の危機管理マニュアル」の完成やシステム改修の詳細が明らかになり、再発防止に向けた取り組みが一段と具体化する見込みです。

◆ 今後の予定

2025年6月に、NEXCO各社は一連の再発防止策および危機管理マニュアルを完成させ、国交省に報告予定です。あわせて、障害のきっかけとなった新深夜割引の導入時期(本来は7月開始予定)も再検討される可能性があり、運用に際しては十分なテストを実施するとしています。今回の教訓を活かした安全・安心なETCシステムへの早期改善が期待されます。


参考情報源

※本レポートは、NEXCO東日本・中日本・西日本が発表した資料や国土交通省の公式コメントをもとに再構成しています。なお、一部の細部情報(具体的なWebフォームのURLやバグ詳細)については続報を待つ必要があります。

 

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