2025年韓国大統領選挙―情勢・政策・展望
2025年韓国大統領選 選挙戦スタート
2025年6月3日に韓国大統領選挙が行われます。この選挙は前大統領・尹錫悦氏が憲法裁判所によって罷免され、その後60日以内に実施されるという異例の展開で注目を集めています。この記事では、今回の選挙の背景や主要候補の政策、外交政策への影響、そして選挙の勝算や展望を詳しく解説します。
選挙の背景と特徴
尹錫悦前大統領の罷免と政治的混乱
2024年12月に尹錫悦前大統領が非常戒厳を発動したことをきっかけに国内外で大きな混乱が生じ、2025年4月、憲法裁判所がこれを憲法違反として罷免を決定しました。これにより、韓国政治は深刻な混乱期を迎えました。
主要候補者のプロフィールと政策
李在明(イ・ジェミョン):共に民主党
李在明氏は最大野党「共に民主党」の公認候補で、2022年の大統領選挙では僅差で敗れました。彼の政策の柱は「経済的二極化の解消」であり、ベーシックインカム制度の導入や地域分散政策(行政機能の世宗市移転)を掲げています。また外交政策では、米韓同盟の重要性を認めつつ、韓国の利益を最優先とする現実的な外交路線を主張しています。
金文洙(キム・ムンス):国民の力
与党「国民の力」の公認候補となった金文洙氏は、元労働運動家から保守派政治家へ転身した経歴を持ちます。彼は経済政策として減税による中間層の支援、全国高速鉄道網の拡充などインフラ整備を打ち出しています。外交政策では尹政権を踏襲し、米韓同盟を強化し北朝鮮に対する強硬姿勢を貫く方針です。
韓悳洙(ハン・ドクス):無所属
前首相で無所属出馬の韓悳洙氏は、政治的中立を強調し、国家統合と安定を掲げています。具体的政策としては、任期短縮を伴う憲法改正や政治制度改革、経済安定化策を推進すると述べています。外交政策では、米中両国とのバランスを重視し、日米韓協力も継続すると表明しています。
外交政策の違いと影響
対北朝鮮政策
李在明氏は北朝鮮との対話と経済交流の再開を重視する南北融和路線を推進。一方、金文洙氏や韓悳洙氏は北朝鮮への圧力維持、非核化を優先とする強硬な姿勢です。
対米・対日関係
李在明氏政権の場合、米韓同盟を維持しつつも自主性を重視するため、日米韓協力は若干調整される可能性があります。保守系候補が勝利すれば、現行の強力な日米韓協力がさらに推進される見通しです。
選挙の勝算と展望
李在明氏の優位と司法リスク
李氏は支持率トップを走っていますが、複数の裁判を抱える司法リスクが最大の懸念材料です。有罪判決が出た場合、当選後でも失職の可能性があります。
保守候補の票分裂リスク
金文洙氏と韓悳洙氏は保守票を奪い合う形となっており、一本化できなければ李氏が有利になると見られています。
選挙後の韓国政局と北東アジアへの影響
国内政治の不安定化
誰が勝利しても与野党対立は続く見込みで、政局はしばらく流動的になるでしょう。
北東アジアの情勢
李氏勝利の場合は北朝鮮との対話再開で地域緊張が一時緩和、保守勝利なら緊張は高止まりとなるでしょう。
まとめ:韓国の未来を決める重要な選挙
今回の大統領選挙は韓国の民主主義や外交政策に大きな影響を与える重要な局面です。有権者がどのような選択を下すか、注目が集まります。
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