中東

中東主要ニュース【2025年6月17-18日】

【2025年6月17-18日】中東の主要ニュース:イスラエル・イラン衝突激化、ガザでは人道危機が深刻化

2025年6月17日から18日にかけて、中東情勢は一層の緊迫化を見せました。イスラエルとイランによる直接的な軍事衝突が激しさを増す一方で、パレスチナ・ガザ地区では人道危機が深刻化し、多数の民間人が犠牲になっています。

イスラエルとイランの軍事衝突が激化、米大統領は「無条件降伏」を要求

イスラエルとイランによる空爆やミサイル攻撃の応酬は6日目に入り、緊張は地域全体に広がっています。 1 イスラエル軍はイランの革命防衛隊(IRGC)関連施設などを空爆し、イラン側もこれまでに約400発のミサイルで報復しています。 2

この事態に対し、米国のトランプ大統領はイスラエルを支持する姿勢を鮮明にしています。6月17日にはSNS上でイランに「UNCONDITIONAL SURRENDER(無条件降伏)」を要求。「イラン最高指導者の所在は把握している。今すぐ命は取らないが我慢にも限界がある」と述べ、強い圧力をかけました。 21 米政府は中東地域に戦闘機部隊を追加派遣する一方、現時点では直接の軍事介入は行わず、イスラエルへのミサイル迎撃支援などに留めています。

ガザで援助物資を求める群衆に戦車砲が直撃、59人死亡

(6月17日)
パレスチナ・ガザ地区では、長期化する戦闘により物資不足が深刻化しています。6月17日、ガザ南部ハンユニス近郊で、食糧配給を待っていた数千人規模の群衆に対し、イスラエル軍の戦車が砲撃を行いました。 9

この砲撃で、女性や子どもを含む59人が死亡、221人が負傷したと現地の医療当局が発表しました。 10 現場の目撃者は「兵士に前へ進むよう指示され、集まったところで突然砲弾が降ってきた」と証言しており、食料を求める住民を狙った無慈悲な攻撃だと非難の声が上がっています。イスラエル軍は発砲の事実を認めつつも、「詳細を調査中」との声明を出しています。

ガザでさらに30人が死亡、世界の関心はイランへ

(6月18日)
翌18日もガザ地区の各地でイスラエル軍の攻撃は続き、少なくとも30人の住民が死亡しました。 16 死者には、難民キャンプや住宅への空爆、援助物資を求める群衆への発砲による犠牲者が含まれています。2023年10月に戦争が始まって以来、ガザ地区の累計死者数は約5万5千人に達しています。

深刻な人道危機が続く一方で、世界の関心はイスラエルとイランの直接対決へと移りつつあります。ガザの住民からは「私たちは忘れられている」と、自分たちの窮状が世界から見過ごされることへの危機感が表明されています。「爆撃で死ななくても飢えで死ぬ。人々は毎日命がけで食料を取りに行き、そして殺されている」と、現地の市民は絶望的な状況を訴えています。

アラブ諸国が即時停戦を要求、「紛争拡大は地域全体の脅威」

中東各国は、イスラエルとイランの衝突激化に強い懸念を示しています。特に湾岸諸国は紛争の飛び火を警戒しており、アラブ首長国連邦(UAE)の外相は6月17日、「この紛争の継続は広範な脅威を及ぼしかねない」として、直ちに停戦するよう強く呼びかけました。 26

サウジアラビアも仲介を模索していると報じられ、カタールやトルコも緊急の電話協議を行うなど、外交的な解決を求める動きが活発化しています。アラブ・イスラム諸国を中心に、平和的解決を求める声が日増しに高まっています。

米国、エルサレム大使館を一時閉鎖し自国民保護に動く

戦闘の波及を受け、欧米諸国も自国民の安全確保に乗り出しています。米国務省は6月17日、エルサレムの在イスラエル米国大使館を18日から20日まで一時閉鎖すると発表しました。 29 これは、イランからのミサイル攻撃に備えた安全確保措置です。

イギリス政府も大使館職員の家族を一時的に国外退避させることを発表。フランスやドイツ、日本などもイスラエルへの渡航中止勧告を出すなど、各国が警戒を強めています。

中東情勢の余波で原油価格が乱高下

イスラエルとイランの軍事衝突は、エネルギー市場にも大きな影響を及ぼしています。6月18日のアジア市場では、前日に4%以上急騰した原油価格が一転して下落しました。 32

市場では、中東の供給不安と、米国の金融政策発表を控えた需要減退観測とが綱引きとなり、価格が乱高下する不安定な展開が続いています。現時点では、イランによるホルムズ海峡封鎖といった直接的な供給途絶リスクは現実化していませんが、紛争が長期化すれば原油供給網への影響は避けられないとの懸念は根強くあります。

イスラエル、海外に足止めの自国民5万人を空輸で帰国支援

イスラエル政府は、戦闘の影響で海外から帰国できなくなっている5万人以上の自国民を救出するため、大規模な空輸作戦を開始しました。 35

6月18日未明、国を代表する航空会社(フラッグキャリア)であるエルアル航空の緊急救援便第1便が、キプロスからテルアビブの空港に到着しました。イスラエル政府は「全ての海外在留イスラエル人を帰国させる」と表明しており、欧州主要都市からの救援フライトを次々と手配しています。この異例の帰国支援は、世界の航空網にも影響を及ぼし始めています。 38


参考文献:引用文献

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