南米地方

南米 主要ニュース【2025年6月14-20日】

【2025年6月14-20日】南米の主要ニュース:ボリビア騒乱、アルゼンチン元大統領有罪確定など

2025年6月14日から20日にかけて、南米では政治的な混乱や重要な司法判断が相次ぎました。ボリビアでは前大統領派のデモが激化して死傷者が発生し、アルゼンチンでは元大統領の有罪が確定。コロンビアでは大統領候補が銃撃されるという衝撃的な事件も起こりました。

ボリビア:モラレス前大統領派の抗議デモ激化で死者発生

6月8日頃からボリビア各地で、エボ・モラレス前大統領の支持者らによる道路封鎖と抗議デモが激化し、15日までに少なくとも警官4名と市民2名が死亡する事態となりました。 1

この抗議デモの発端は、選挙管理当局がモラレス氏を次期大統領選から排除する決定を下したことです。モラレス派は現職のルイス・アルセ大統領の退陣を要求しています。国内の経済危機への不満も相まって、政情不安が深刻化しています。

アルゼンチン:キルチネル元大統領の汚職有罪が確定

6月17日、アルゼンチンの最高裁判所は、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル元大統領(現副大統領)の汚職事件に関する有罪判決を支持しました。 4 これにより、同氏に下された禁錮6年および公職への永久就任禁止の刑が確定しました。

キルチネル氏は高齢などを理由に、刑務所ではなくブエノスアイレス市内の自宅で刑期を務めることが認められています。 5 判決確定後、首都では同氏を支持する大規模な抗議集会が開かれました。 8 また、ブラジルのルラ大統領やベネズエラのマドゥロ大統領が相次いでキルチネル氏への支持を表明するなど、国際的な波紋も広がっています。 9

ベネズエラ:与党がボイコット選挙で圧勝、野党は「茶番」と非難

5月25日にベネズエラで行われた議会選挙と州知事選挙では、野党の主要勢力がボイコットする中、マドゥロ大統領率いる与党連合が圧勝しました。 11

しかし、有権者の大半は投票に参加せず、地域によっては棄権率が85%に達したとも報じられています。野党陣営は、この選挙を「政権が自らの敗北を覆い隠すための茶番劇だ」と厳しく批判。6月18日には、野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏が、米国など国際社会に対し、マドゥロ政権へのさらなる圧力強化を訴えました。 14

コロンビア:大統領選候補の上院議員が遊説中に銃撃され重体

コロンビアでは6月7日、2026年の大統領選挙への出馬を表明していた有力候補、ミゲル・ウリベ・トゥルバイ上院議員(39歳)が、支持者集会の演説中に銃撃され、意識不明の重体となる事件が発生しました。 16

犯行直後に15歳の少年が逮捕されましたが、 18 捜査当局は、少年が雇われた「ヒットマン」であり、背後に組織的な犯行計画があったと見ています。ウリベ・トゥルバイ氏は複数回の手術を受けましたが、容体は依然として予断を許さない状況です。 20

コロンビア:ペトロ大統領の国民投票令を裁判所が差し止め

コロンビアの行政裁判の最高機関である国務院は6月18日、グスタボ・ペトロ大統領が発出した国民投票の召集に関するdecreto(大統領令)を、暫定的に差し止める決定を下しました。 22

ペトロ大統領は、自身の進める労働法改革が議会で難航した場合、国民投票で民意を問う考えを示していました。しかし国務院は、この大統領令が議会の事前承認なしに発令されたことは、憲法に違反する可能性が高いと判断しました。

ブラジル:中央銀行が政策金利を15%に引き上げ、2006年以来の高水準

6月18日、ブラジル中央銀行(BCB)は、金融政策決定会合(Copom)で政策金利(セリック金利)を0.25%引き上げ、年利15.00%とすることを決定しました。 25

市場では金利据え置きの予想が多かったため、この決定はサプライズとなりました。政策金利15%は2006年以来の高水準であり、ブラジルは世界でも有数の高金利国となっています。中央銀行は、依然として高いインフレ率を警戒しており、当面はこの金利水準を維持する方針を示しています。

ペルー:首都リマ近郊でM6.1の地震、1名死亡

6月15日午前、ペルーの首都リマおよび隣接するカヤオ周辺を震源とするマグニチュード6.1の強い地震が発生しました。 30

この地震により、倒壊した塀の下敷きになった男性1名が死亡し、少なくとも36名が負傷しました。市内では建物の壁にひびが入るなどの被害が出ましたが、大規模な倒壊や津波は発生していません。ペルーは地震活動が非常に活発な国として知られています。

フォークランド(マルビナス)諸島:国連委員会が英・アルゼンチンに和平交渉を勧告

6月18日、国連の「植民地問題特別委員会(C24)」は、南大西洋にあるフォークランド(アルゼンチン名:マルビナス)諸島の領有権紛争について、平和的な交渉による解決を促す決議を採択しました。アルゼンチンと英国に対し、主権問題に関する対話を再開するよう求めています。アルゼンチン政府はこの決議を歓迎しましたが、英国側は島民の意思を無視した交渉には応じない姿勢を崩していません。

チリ:中央銀行が政策金利を5%に据え置き

チリ中央銀行は6月18日までに、政策金利を年5.00%に据え置くことを発表しました。米中間の貿易摩擦や中東情勢の緊迫化など、世界経済の不透明感が増していることを踏まえ、景気の下支えのために現行水準を維持するとしています。中央銀行は、今後の国際情勢次第で柔軟に金融政策を調整する方針です。


参考文献:引用文献

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